参議院本会議

鳩山内閣総理大臣所信表明演説に対する代表質問
平成21年10月30日(金)
■松下新平■

  私は、自由民主党・改革クラブを代表いたしまして、鳩山総理の所信表明演説に御質問と御意見を申し上げたいと思います。
  この代表質問、本日で衆参三日目を迎えました。鳩山総理、総理の答弁をお聞きし、愕然といたしました。総理の答弁は具体的な質問に対してもすり替えが目立ち、答弁に窮すると、あなた方に言われたくない、こうなったのはだれのせいかと、自公政権への責任転嫁、なすりつけの発言が繰り返されています。誠に残念です。
  総理、これまでの野党の立場ではなくなったんです。政権を担う立場となったのですから、真正面から受けて立つべきです。責任転嫁せず、どういう日本を目指すかについて具体的に堂々と明らかにすべきです。
  さて、さきの総選挙では、民主党は確かに三百八議席を獲得し、政権交代を実現しました。しかし、問題は民意、得票数です。民主党は民意の過半数の支持を得たわけではありません。それを数字で示しましょう。今回の総選挙での得票数は、得票総数約七千万票のうち、小選挙区では四七%の三千三百四十七万票、比例代表では四二%の二千九百八十四万票でした。このように、小選挙区と比例代表のいずれも民意の過半数の支持、得票は得ていないのが実態であります。民主党は謙虚にこの半分以上の国民の声に耳を傾けるべきです。いかがですか。
  私は、総理の主張する国民生活を第一とした政治という考え方にいささか疑念を持ちます。昭和二年、歴史家、あの徳富蘇峰はこう述べております。国家が興隆すれば理想をもって生活とし、国家が衰退すれば生活をもって理想とする。どういう意味でしょう。昭和二年当時も金融恐慌が起こりました。そのときにも生活ばかりに目が向いてしまい、国全体の方向性を見失いかけたのであります。興隆する国家の理想、すなわちあるべき経済社会の姿を示し、それに向けた改革を国民とともに進めるのでなければ生活優先は一時しのぎにしかならず、結局は真の国民生活の充実はあり得ないとの戒めの言葉であります。まさに今、その状況であります。このままでは日本の衰退と国民生活の不安が増すばかりと心配するのです。
  そこで、総理、民主党には経済成長戦略がない、このため日本の将来に対する不安が指摘されておりますが、どのように認識していますか。あわせて、日本の興隆に向けた、すなわち基本戦略の具体的例示をこの場で幾つか示していただきたいと思います。
  次に、テロとの戦い、インド洋での給油活動の継続の必要性について国民の皆様にもお訴えいたします。
  先ほど島尻議員からも御質問がありました。単刀直入に申し上げます。総理、来年の一月期限切れの海上自衛隊によるインド洋での給油活動については、やはりその延長というのが最善だと思うんです。国際社会において我が国のプレゼンスを高め、そして国民の不安を取り除いていくためには、外交の継続性を守り、日本の安全保障を確保することです。それは、世界平和の観点からいかに日本が国際貢献をするかというバランスの問題であり、重要であります。
  岡田外務大臣がアフガニスタンとパキスタンを訪問しました。パキスタンのギラニ首相からも強く給油活動の延長を求められていますね。大臣、そうでしょう。世界各国からの評価も高く、広く継続の要請を受けている給油活動の延長がなぜ選択肢となり得ないのか、全く理解に苦しみます。
  民主党の主張する職業訓練などの民生支援は既に行っております。先日、緒方貞子JICA理事長から、日本がいかに民生支援をしてきたかを直接お聞きしました。これをより充実させることは誠に重要ですけれども、それは必ずしも給油活動の代替にはなりません。
  アフガニスタンの今の治安状況では常に他国の軍隊の護衛を受けなければならないことは、総理、御存じのとおりです。民主党案には無理があります。自民・公明政権がやってきたことは何が何でも反対だという考え方は捨てて、良いことは良いとしたらどうですか。総理、テロとの戦い、インド洋での給油活動の延長について、改めてどう考えますか。
  ここで重大な指摘をしなければなりません。
  さきの二日間、衆参それぞれのインド洋での給油活動の代表質問に対して総理は、先般、岡田外務大臣がアフガニスタンに参りましてカルザイ大統領と懇談したときにも、一言もカルザイ大統領の方から補給支援の話がなかったということを聞いていると答弁しています。これで給油活動撤退が承認されたと言わんばかりの世論操作としか思えません。
  岡田外務大臣は、このアフガニスタン訪問のたった十六日前の九月二十五日の国連総会の折、ニューヨークでアフガニスタンのスパンタ外務大臣と公式に会談し、そのスパンタ外務大臣から正式に、日本によるインド洋での給油活動に感謝され、継続依頼を受けたはずですね。
  総理、なぜこんな重要なことを同時に答弁しなかったんですか。この事実を国民に隠すんですか。都合が悪いんですか。これでは国民の判断を惑わします。これはまるで給油活動継続反対のための誘導答弁です。私は、こうした民主党・鳩山政権のやり方に強い不信を覚えます。国民の皆様、どうお聞きになりますか。
  総理、アフガニスタンほかからの継続要請はありませんか。岡田外務大臣、アフガニスタン外務大臣からの公式会議の内容等それぞれに、事実関係を含め、外交の基本を国民の理解と言われた、先ほどおっしゃったとおり正確に国民に開示してください。
  さらに、カルザイ大統領から何もなかったとして、撤退了承と勝手な解釈をしないよう、今からすぐにカルザイ大統領、アフガニスタン政府に正式に意向を確認してください。そして、すぐさま国会に報告をするよう総理に求めます。
  最後に、私たちは具体的な提案をいたします。
  公金検査請求・国民訴訟制度の導入です。民主党の主張する政治主導の税金の無駄遣いの根絶方法より更に突っ込んだ実効ある提案です。
  国民の貴重な税金の無駄遣いや不正に対して、そもそも政治主導だけでやれると思ったら大間違いです。これは民主党と与党政治家のおごりであります。それは国民に参加してもらうということを忘れているからであります。
  私たちの提案は、国民の一人一人が、この予算は何のためか、税金を不正、無駄に使ってはいないかと国民自身が監視の目を光らせることができるようにするものです。
  総理の手元に既に法案を届けてありますが、検証してもらえたでしょうか。国民の皆様に参加、協力してもらってこそ、無駄遣い根絶が本当にできるのです。この公金検査請求・国民訴訟制度、これを総理に強く求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕

■鳩山由紀夫 内閣総理大臣■

  松下議員の御質問にお答えをいたします。
  所信で私はあえて申し上げたつもりであります。少数の人の視点というもの、これが政治において尊重されなければならない、そういう政治を目指したいと申し上げました。得票総数、またパーセントが何パーセントだということによって結果を決めたいとは思っておりません。常に少数の皆様方の御意見にもよく耳を傾けながら政治の意思決定をしてまいりたい、そのことを申し上げておきます。
  また、経済成長戦略についての御質問をいただきました。
  言うまでもない話でありますが、経済成長戦略については、経済・雇用危機の克服のために、現在の雇用情勢の悪化やあるいは地域経済、さらには歯を食いしばって頑張っておられる中小企業の皆さん方の資金繰り、大変厳しい、こういう状況の課題に迅速に対応して日本経済を自律的に内需主導型、民需で回復をさせていかなければならない、それが基本的な姿でございます。
  中長期的に、これも申し上げましたけれども、人間のための経済に転換をしていくための施策を一つ一つ行ってまいりたい。その具体的な例として、これも申し上げたところではございますけれども、イノベーション、この日本が独自に持っておる科学技術力、これを大変重視して使い分けていかなければならない。
  その意味で、例えば、例示として世界最高水準の低炭素型産業の創造を行っていくというようなことなど、さらに暮らしの安心を支える医療とか介護、あるいは地域を支える農業、林業、そして観光の分野において内需型の産業を育成をしていく、こういう基本的な姿を通じて新たな産業と雇用を創造していく、これが基本的な姿でありますが、特にアジアの国々との協力関係の中で、アジアを活性化させるためにも日本が役立ちながら、さらにアジアが活性化していくことによって日本自体が成長を遂げていく、こういう協力関係の中での成長を遂げてまいりたい、これが基本的な姿でございます。
  インド洋における補給支援活動の中止理由、その代替案に関する御質問がありましたが、私たちは旧政権がなさっておられる政策だからといって反対をするつもりも毛頭ありません。一つ一つの政策に対して本当に必要かどうかということを勘案しながら結論を出していく、その姿は貫いてまいりたいと思います。
  補給支援活動に関しても、したがいまして、補給支援活動のそのものを単体としてとらえて是非を決めるということよりも、本当の意味でアフガニスタンが望んでいる支援は何か、国際的な協力関係の中で日本が果たすべき貢献は何かということを考えながら、例えば農業支援、特にケシの栽培などで密輸などを行っている方々がおります。そういう人たちにそうではないと、新しい農業で生きていこうではないかと、こういう支援を行うことは極めて重要だと思っておりますし、さらには警察官の支援などを行う、元兵士に対する職業訓練、こういったものを行っていくことの重要性をかんがみながら、果たして補給支援活動が本当にアフガニスタンにとって望まれているものか、そんな判断の中で決してまいりたいということで結論を出してまいる次第でございます。
  また、給油継続要請についてのお尋ねがございましたが、主として給油を受けている国々から継続の要請があったことは私も承知をしておるわけでございまして、そのことを何も隠すつもりもございませんし、メディアなどでも明らかになっているところでございます。
  ただ、申し上げたのは、先般の岡田外務大臣がアフガニスタンを訪問した折には、カルザイ大統領並びにスパンタ外務大臣との会談がなされましたけれども、その先方からは補給支援活動の言及はなかったということを正直に申し上げただけでございます。
  給油継続についてアフガニスタン政府に意向を確認することについての質問がございました。
  今申し上げましたように、岡田外務大臣のアフガニスタン訪問のときに先方からは給油支援の話に言及がなかった、これは正式な会談の結果であります。
  したがいまして、改めてアフガニスタン側の意向を確認をするまでもない、そのように考えておりますが、いずれにしても、本当に必要とされているアフガニスタンに対する支援は何か、その側面から十分に検討して、日本の得意とする分野で、あるいは方法で積極的な活動をしてまいりたい、このように考えております。
  血税の無駄遣いを国民の直接な監視ができる制度の導入、この御質問がございました。
  新内閣は戦後行政の大掃除というものを掲げております。そのために、税金の無駄遣いを徹底して排除しよう、その方向で今見直しているところでございます。そのために、行政刷新会議を設置をして、政治主導で政府のすべての予算あるいは事務事業を点検して、行政の奥深くまで入り込んだしがらみや既得権、こういったものを一掃しようじゃないか、今まさに国民のために政治主導で頑張っている、その状況でございまして、御提案の制度もその一つの方法だとは考えておりますが、まずは国会で御議論をいただくことが必要ではないか、そのように考えております。
  残余の質問については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣岡田克也君登壇、拍手〕

■岡田克也 国務大臣■

  私に対しまして、給油活動に関する私とアフガニスタン大統領及び外務大臣のやり取りについてお尋ねをいただきました。
  私は、本年九月に国連総会出席のためにニューヨークを訪れた機会に約三十分間会談を行いましたスパンタ・アフガニスタン外相より、我が国によるインド洋での補給支援活動を継続していただけるのであれば大変感謝するとの発言がありました。
  今月の十一日にアフガニスタンを訪問した際に、カルザイ大統領から我が国の補給支援活動に関して言及はありませんでした。スパンタ外相とも六十分ほど会談を行いましたけれども、日本のアフガニスタン復興支援活動について感謝する旨の発言はありましたが、補給支援活動に対しては、大統領同様言及はありませんでした。
  以上が事実関係であります。(拍手)

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