参議院災害対策特別委員会−

阿蘇山周辺地域における火山防災対策等に関する実情調査のための委員派遣 報告
平成27年3月25日(水)
■松下新平■
 三月五日、熊本県において、阿蘇山周辺地域における火山防災対策等に関する実情を調査してまいりました。
 今回の調査は、東日本大震災から四年を迎え、また、第三回国連防災世界会議の開催等により、防災対策の重要性が注目される中で、阿蘇山の噴火、降灰とともに、活動火山対策特別措置法に係る検討がなされるなど、火山対策への取組が喫緊の課題となっていることに鑑み、実施したものであります。
 参加者は、秋野公造委員長、古賀友一郎理事、野田国義理事、山本博司理事、仁比聡平委員、田中茂委員、また、現地参加されました馬場成志委員、松村祥史議員及び私、松下新平の九名であります。
 現地調査の概要を御報告いたします。
 阿蘇山では、昨年十一月二十五日にマグマ噴火が始まり、活発な火山活動が続いております。噴火警戒レベルは、昨年八月三十日に、レベル一からレベル二に引き上げられ、火口からおおむね一キロメートル以内の立入りが禁止されています。
 また、噴煙が千メートル以上に達した際に発表される降灰予報は、昨年十一月以降二十四回発表されており、降灰の影響は熊本県にとどまらず、宮崎県などにも及んでおります。
 現地におきましては、まず、阿蘇くまもと空港において、熊本県の村田副知事及び前川県議会議長より、現在県が策定を進めている防災営農施設整備計画に基づく事業への予算措置、降灰除去事業及び土石流対策の推進、風評被害対策に係る支援など、三十一項目にわたる降灰対策に関する緊急要望書を受領しました。
 次に、バス車中にて、内閣府から火山防災対策の概要について、また、気象庁から火山監視体制と阿蘇山の最近の活動について、それぞれ説明を聴取した後、阿蘇市を訪れました。
 同市内においては、阿蘇火山防災会議協議会会長の佐藤阿蘇市長から、火山の活動状況に応じた避難・立入り規制対策、火山防災訓練の内容、火山ガス検知器及び退避ごうの設置状況、今回の噴火に伴う影響等について説明を聴取するとともに、熊本県から、交通、観光、農作物などの分野における降灰による影響及び被害状況、本年二月に取りまとめた熊本県阿蘇山噴火降灰対策計画に基づく対策、降灰対策に関する緊急要望書の概要等について説明を受けました。
 また、宮崎県から、ビニールハウスで栽培する農作物や露地野菜等への降灰の影響と対策、活動火山対策特別措置法に基づく防災営農施設整備計画の変更手続の見通し等について説明を聴取したほか、防災営農施設整備計画等に基づく事業の実施に際しての所要額の確保など、四項目から成る要望書を受領しました。宮崎県の原田五ケ瀬町長からは、降灰が中長期化する中で農家が安心して営農できるための支援の必要性等について説明がありました。
 次いで、阿蘇火山防災会議協議会の佐藤阿蘇市長、長野南阿蘇村長及び草村高森町長、また、宮崎県の五ケ瀬町の原田町長及び甲斐議長、県関係者等と派遣委員との間において、降灰による五ケ瀬ハイランドスキー場への影響、阿蘇山における退避ごう等の現況及び今後の整備方針、降灰による観光への影響及び風評被害対策のため必要となる財政支援の規模、火山専門家との連携協力体制、農作物被害等に対する生産者側の要望内容、今後の農作物の作付けに資する予防的な対策、阿蘇山の噴火活動の継続期間の見通し、営農者や地域住民の生活の不安を払拭する対策の必要性等について意見交換を行いました。
 その後、車中にて、阿蘇市から、火山の監視体制及び退避ごうの状況について説明を聴取した後、噴煙を上げる火口から約一キロメートルの地点に位置する阿蘇山上広場において、退避ごうを視察しました。
 阿蘇山には、ドーム型十二基、箱型四基の計十六基の退避ごうが設置されており、一基当たりの収容人数は、ドーム型が約六十名、箱型が約百名であり、いずれも鉄筋コンクリート造りとなっております。現在、最も古い退避ごうが設置後四十年を経ているなど、施設の腐食や老朽化が進んでおり、今後の更新、整備が課題であるとのことでありました。
 続いて、車中にて、熊本県から、噴火に伴う農林業分野の対応状況について、草村高森町長から、子供へのマスクやゴーグルの配付など教育分野での取組等について、それぞれ説明を聴取した後、最後に、高森町上色見地区に赴き、畑地及び牧草の現況を視察しました。
 同地区の牧草は生育不良により品質の低下や収穫量の減少が予想されること、降灰の中長期化により作付け等の見通しが立たないこと、他地域からの牧草の調達等に伴う畜産に係るコスト増への不安があることなど、農家の方から切実な声を伺いました。
 阿蘇山では、今後も中長期にわたる噴火活動、降灰が続くことが懸念されており、現地においては、農林業への影響や観光業等における風評被害が発生しております。今後、地域の方々の不安を早急に払拭し、日常生活の安全、経済活動の安定を図っていくことが重要であります。今回の調査により、噴火及び降灰対策、風評被害対策等について、国として万全の措置を講じていくことが喫緊の課題であることを改めて強く認識した次第であります。
 以上が、調査の概要であります。
 最後に、今回の調査に御協力をいただいた皆様に心から御礼を申し上げ、地域住民の方々が一日も早く不安のない生活が取り戻せるようお祈りして、派遣報告とさせていただきます。