経済産業委員会−

−「農商工連携」及び「世界特許」についての今後の取り組み−

平成19年12月4日(火)

■松下新平■
 無所属の松下新平です。
 最後の質問者です。お付き合いをよろしくお願いいたします。
 冒頭に、私の立場からも、原油高、そして住宅着工件数の減少の問題、このことに触れさせていただきたいと思っております。
 今ほども御答弁いただきましたが、トラック業界、地元でも声を聞いております。ただでさえ厳しい経済状況の中で、この原油高の高騰は特にトラックの長距離を担当している会社には相当なダメージであります。お話がありましたように、運賃に転嫁できるのは一%と。ということは、その会社がすべてコスト高になるわけでありまして、会社によりますと年間のコストが一千万円以上の負担になっていると、大変深刻でございます。また、年末にかけまして生活関連用品の値上げの話が取りざたされております。これから冬に向かいまして更に油を使う機会が多いわけですが、それぞれの立場の方からも要望をいただいております。
 お話がありましたとおり、世界金融、投機的な要素もあり大変難しい問題でありますが、この委員会でも出ましたように、超党派でこの問題にしっかり取り組むべきだと思います。また、大臣におかれましては、引き続き資源外交にも積極的に力を入れていただきたいということを要望したいと思います。
 続きまして、住宅着工の減少の問題ですが、これは大変裾野の広い、関連産業の多い分野でありまして、地方経済にも大変影響が大きいわけであります。
 先ほどの答弁の中で、甘利大臣はいち早くこの問題を閣僚の中でも取り上げられたということでありました。その中で、法律が予定していない分野、これを実際の現場では運用しているという指摘がありましたが、これは行政裁量権の濫用でありますから、しっかり正していかなければならないというふうに思います。また、この委員会でも機会がありましたら、何らかの決議なり要望なり取りまとめていただきたいと思っております。
 それでは、私は今回、特許庁の問題を取り上げさせていただきたいと思います。前国会の会期末に、この経済産業委員会で特許庁を視察されたということをお伺いしました。私はそのとき委員のメンバーでなかったので視察できなかったんですが、先週の金曜日に特許庁を視察させていただきました。そのことを取り上げさせていただきたいと思います。
 私は初めて訪問させていただいたんですが、日本の経済を支えてきた正に陰の立役者だということを評価したいと思っております。歴代の発明のパネルが飾ってありまして、この日本の経済成長を、日本の技術力、支えていただいたということ、そしてまたそれをきちっと保管し、また運用をしていただいた特許庁を高く評価しております。
 そこで、まず大臣に御答弁いただきたいんですが、今日の質疑の中でもありました農商工連携についてなんですが、北京で甘利大臣と若林農水大臣がはっぴ姿で日本食のPRをされているというのは、もう世界での連携というのは初めてだと思いますが、大変いいことだと思っております。大都市と地方のコラボレーションあるいは大企業と中小企業のコラボレーションの話もありましたが、いま一度、この農商工連携に対する大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
■甘利 明 経済産業大臣■
 地域経済の活性化ということが現在の、現下の我が国政府の大きな課題だと思います。そのためには幾つかの手法がありますけれども、企業が来ないと元気が出ないというだけの処方せんではいけないと思うんですね。そうすると、農地を減らして工場を増やせば増やすほど地域は元気になるのだという論法になってしまいますから、企業立地政策はそれはそれで大事、それから地方の産品を使って業を起こすのも大事、大事なんですけれども、農業それ自身を元気にするということは、同等以上に地域にとっては大事だというふうに思います。
 いいものが一杯できるんです、世界に誇れるものが一杯作られているんですね。ところが、売り方が下手というか、売り込み方が下手というか、PRが下手というか、マーケティングという発想はないというか、農家にそれを求める方が無理だよとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、農家の中にはもうITを使って生産管理から売り込みからホームページからいろんなことをやってうまくいっている人がいるんですね。ですから、うまくやって、うまく成功している人がいるんだから、その成功体験をみんなが共有して国内外に打って出ようじゃないかという思いなんです。
 今までは、市場で勝負したらやっぱり価格じゃ負けるしなと。価格で負けてもうちは高くて当然と、ほかにこんなにいい点があるんだからと、そういうPRをすると。あるいはそういうマーケティングとブランド戦略、マーケティングの中でブランド戦略を結び付けていくということが大事だと思うんです。
 北京で売られていたリンゴはたしか千何百円です、一個、千二百円。千二百円、高いですよね。それを売ろうということなんですね。ナシは四百円です。またこれが好評なんです。米は日本の五、六倍で、もう完売です。店に並んでいるのは非売品と書いてありました。見本なんですよ、もう。これから交渉で入ってくれば売りますという。
 ですから、世界を見れば、お金持ちを相手にする市場だけだってもう日本で生産し切れないぐらいの市場になっていると思うんですね。そことつなげていくという努力をいろいろとしなきゃならない、国内外でですね。そうやって、農業は実は地域を引っ張るリーディングインダストリーなんだということを、視点で見てもらいたいという思いでこの農商工連携というのを始めた次第であります。
■松下新平■
 ありがとうございました。商と農、それぞれ相乗効果も期待しながら、是非またPRしていただきたいと思います。
 それでは、特許庁からお越しいただいておりますが、今の大臣の取組を受けまして、特許庁、知的財産権に関してどのように取り組まれているか、お示しください。
■肥塚雅博 特許庁長官■
 農商工連携ということで、知財分野におきましても、十月三十日に甘利大臣と農水大臣との間で、知的財産分野でも両省が連携して政策を進めていくという合意がなされました。これを受けまして、両省の事務方で連絡会議を設けまして、一つは地域における知財制度の活用、普及、相談といった分野、二つ目は諸外国における知的財産の保護強化、三つ目に両省持っておりますいろんな制度についての改善点といった三つの分野でそれぞれワーキンググループを設けまして、現在、具体的な協力を進めているところでございます。
 具体的な連携内容としては次のような内容を考えておりまして、一つは、今、製造業における知的財産流通に関する業務経験を持っておられるような人材のネットワークを私ども持っておりますので、農水省と協力をいたしまして、農林水産分野における知的財産の専門人材の育成に協力をするというようなアイデアが一つでございます。
 それから二つ目は、知財の流通を促進するということで、特許庁の持っておりますデータベース、あるいは流通をアドバイスするためのネットワークがございますので、このネットワークと農林水産省が持っておられる知財のネットワークを結び付けるということで何かできないかと。
 それから三つ目に、私どもは両省とも地方局でいろんな相談をやっております。それぞれ得意分野がございますので、それぞれの制度を相互に流すといいますか、補完するようなシステムをつくりたい。
 それからその次に、先ほど大臣からお話ございましたけれども、海外で知的財産をどうやって守るか。私どもも模倣品の被害調査あるいは被害企業をサポートするようなシステムを持っておりますので、農林水産分野の案件についても御活用いただくと。あるいは海外の駐在員ネットワークを持っておりますので、そこでの模倣品対策で協力をするといったようなことを考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも両省密接に連携をして、具体的な成果が出るように頑張っていきたいというふうに考えております。
■松下新平■
 ありがとうございました。
 最後の質問になりますけれども、視察の中で世界特許ということを説明をいただきました。特許は、申請をして、それで審査が行われるわけですけれども、それぞれ国によってルールが違うということがありまして、それは発明した方にそれが権利があるのか、それとも出願した人に権利があるかといった世界のルールが違うようであります。
 日本はグローバルスタンダードとして出願、先願と言うそうですけれども、に権利を与えるということで、世界のリーダーシップを取られているという話もお伺いしました。日本の企業も今はそれぞれ国ごとに申請をしているというコスト面、また手間も掛かる作業なんですけれども、特許長官におかれましては精力的に二国間交渉において世界特許の実現に向けて御尽力をいただいているということですが、そのことについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
■肥塚雅博 特許庁長官■
 今お話がございましたように、一つの発明について世界じゅうで同じような特許の保護を円滑に受けられるという世界特許を実現するということは、企業の側から見ましてもその負担を軽減するということで、非常に重要な課題だというふうに思っています。
 それからまた、企業活動がグローバル化して各国でイノベーションが進展する中で、世界じゅうの特許出願の件数が飛躍的に増加しております。これは十年ぐらい前は百万件ぐらいでございましたけれども、今百七十万件近くになっておりまして、加えて、各国間で重複して出願する、グローバル企業がいろんな国で特許を出願するということも増えてきております。
 したがいまして、私どもは二つ、一つは各特許庁間でのワークシェアリングをどうやって進めるか、それから、今先生がお話ございましたように、制度調和をどうやって進めるかという課題に直面しております。
 まず、ワークシェアリングの方でございますけれども、私ども、外国特許庁との間で審査の結果をお互い利用すると。日本で特許審査を受けますと、その結果に基づいて相手国で早期に審査を受けて特許化していくという特許審査ハイウェイということを米国、韓国、英国、イギリスとの間で既に開始しておりまして、ドイツとの間でも来年三月に開始するということで合意しております。
 それから、もう一方、制度調和でございますけれども、進出先の国でも同じようなルールで特許保護が得られるということのために、先進国間で特許法の国際調和のための条約草案の合意に向けた交渉を行っております。今先生お話がありましたように、アメリカで先発明主義から先願主義への移行を含みます特許法の改正案が正に議会で審議中でございまして、大きく動こうとしておりますので、そういう機会をとらえまして国際的な制度調和を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、もう一つは実務的な面でございますけれども、審査基準、もう少し手近なところで審査基準を比較したり審査実務を調和していくということで、実質的な特許の判断が統一されるようにと、あるいは出願様式が統一されるようにといったような取組も進めております。
 いずれにしましても、一つの発明が世界じゅうでグローバルに保護が受けられるような世界特許を目指しまして、いろんな努力を続けていきたいというふうに考えております。
■松下新平■
 最後に、特許庁に今御答弁いただきましたけれども、世界特許に向けて日本がリーダーシップを取って実現すること、エールを送りまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。