経済産業委員会−

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案
平成21年6月2日(火)
■松下 新平■
  改革クラブの松下新平です。
  早速ですけれども、本日の議題であります私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして随時質問させていただきます。
  まず冒頭にですけれども、竹島公正取引委員会委員長におかれましては、今日まで今までにない公正取引委員会の機能を発揮されての御奮闘に対して、改革クラブとしては高く評価していることを申し添えたいと思います。
  深刻度を増す世界金融危機と戦後最大の世界同時不況の中で、我が国経済も、実体経済の悪化が金融の一層の不安定化を招き、それが更なる実体経済の悪化を招くといった事態、すなわち経済の底割れのリスクが急速に高まりつつございます。そして、経済の収縮による悪影響が一部の中小企業、地域経済や非正規労働者等の社会的弱者にしわ寄せされる形で現れております。
  そのような中で、先日、平成二十一年度補正予算が成立いたしましたが、この補正予算は多額の公共事業費も計上されているところ、地域経済の下支えとしての公共工事等の重要性は過去になく増しておりまして、低入札問題への対応や適正価格での契約の推進等を図り、多くの中小企業、中小事業者の方々に経済対策の成果を肌で感じていただくことが必要不可欠であると考えております。
  そこで、今回は入札制度と独占禁止法に関する質問を中心に七問御見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  まず第一点目ですけれども、近年の入札制度改革によりまして、国や地方公共団体におきましては一般競争入札や総合評価方式など新しい発注方法が用いられるようになっておりますけれども、これについての公正取引委員会の御見解をお伺いいたします。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  国の会計法令では一般競争入札というのが原則に昔からなっているわけですが、例外的に指名競争入札とか随意契約が認められると、こういうことになっているわけですが、現実は随契とか指名競争入札が圧倒的でございまして、一般競争入札は原則であるべきものが例外になっていたというのが日本の現実でございます。
  そういう中で、談合がよく行われてきたということが残念なこととしてあるわけでございますが、談合が摘発されるたびにやはり発注者側もいろいろ工夫をされまして、最近では一般競争入札、難しいものについては、価格だけの一本勝負ではきちんとした業者の選定はできないではないかということもありまして、総合評価方式というようなことが導入されてきているということでございますので、それぞれの、一般競争入札にせよ総合評価方式にせよ、本来それに沿った運用がされるということは我々としては結構なことだと思っておりますが。
  これは釈迦に説法でございますが、私、いろんな談合事件を見てきてつくづく思いますのは、世の中、官製談合も結構あるわけでございます、これは国、地方を通じてあるわけでございますが、やはり公務員の側、発注者側が、首長さんを含めて、いかに税金を使う事業でございますので、これは公共工事に限らず物品の調達でもそうでございますし、コンピューター関係のプログラムを作るということもそうなんでございますが、こういったときに、いかにより良いものをより安く買うかということが発注者側のまず基本だという意識になっていただくということがなければ、どんなふうに変えましても、これはカルテル、談合はなくならないと。幾らでもかいくぐる道はあるわけでございまして、最近は総合評価方式といったってどこをどう評価されたのか、ブラックボックスがあるじゃないかという批判もあるわけで、本当にフェアかどうかという問題が問われている。
  したがって、それを発注する側が今申し上げた基本的スタンス、いかにいいものを安く調達するかということで業者ときちんとなされば、そういったブラックボックスとかなんとか言われることもなくなって皆さんが理解をする。透明性もでき、本当の意味のまともな競争ということになると思うんですけれども、残念ながら、一般競争入札にしたから、じゃ指名競争入札時代と変わって談合がなくなったかというと必ずしもそうでもないという現実があるというふうに思っております。
■松下 新平■
  ありがとうございました。
  次に、今回の法改正では不当廉売に対して課徴金制度を導入することとしておりますが、建設業におけるダンピングの受注も不正競争であり、不当廉売の一種だと考えておりますが、公正取引委員会は現在どのように取り組んでおられるのでしょうか。また、今後、法改正が行われれば、公正取引委員会はこれらの問題についてより抑止力のある措置で臨むことができると思いますけれども、この点についての御決意をお伺いしたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  御指摘のとおりといいますか、低入札価格とか最低制限価格に張り付いたような入札、それが複数社あるのであとはくじ引だというようなことが行われているわけでございますが、私どもも特に談合の摘発を厳しくやりましたらスーパーゼネコンは談合はやめますという宣言をするというようなことで、そうするとその反動でもって非常に不当廉売、コスト割れの入札というものが行われたということが国会の場でも指摘をされまして、公正取引委員会きちんと取り締まれと、こういうことを御指摘もいただきました。
  私どもは、そういうことも背景にいたしまして、公共事業の発注をする官庁から低入札価格調査で引っかかったものを出していただきまして、データは二千ぐらいありましたが、その中からこれはおかしいな、問題があるな、まさに不当廉売だなというようなものを見付けまして、平成十九年六月に五社、それから二十年七月に三社に対して警告をしております。不当廉売に該当するおそれありということで警告をしております。
  今度の改正法案でこの不当廉売は課徴金の対象になったわけでございますが、当然、建設業もこの対象でございまして、これから先公共工事について不当な落札をしたと、不当な低い価格で落札をしたということで、この不当廉売の要件に該当する、ただし繰り返し、十年以内に繰り返しということもあるわけですが、この二つの要件に該当する場合には課徴金の対象になるということでございますので、私どもは引き続きデータの収集、それから問題のあるものについてはおくせず課徴金の納付命令もやっていきたいというふうに思っております。
■松下 新平■
  ありがとうございます。
  次の質問に移ります。
  私も地方議会の経験があるんですけれども、地域経済の活性化のためには公共調達について地域優先、ある程度必要であるというふうに考えております。実際、近年、地方公共団体が発注する入札等では、入札参加事業者に地元業者の下請利用や地元産品の優先利用を求めている事例が見られますけれども、このような発注方法について公正取引委員会の御見解をお伺いいたしたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  御指摘のように、その地元業者を下請として使うようにとか、地元産品を利用するようにということを一種条件付けられるということは、これはそれぞれの首長さんの判断であり得る話だと思いますが、私ども競争当局の立場からしますと、余りにもそれを制限してしまいますと、競争が事実上なくなるというか高いコストを払って行うということになりますので、その義務付けが非常に厳しいということはこれは好ましくないというふうに、推奨は結構でございましょうけれども、義務付けまで行きますと、トータルとして、地元業者を育成したいということと、それから高いものを買わされるということのバランスでどう考えるかということになるんではないかというふうに思います。
■松下 新平■
  ありがとうございました。
  ちょっと関連しますけれども、次の質問に移ります。
  地域経済の振興、地元業者の育成の観点から入札参加を地元業者に限定する、いわゆる地域要件を設けることがございますけれども、このような発注方法についての公正取引委員会の御見解をお伺いしたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  いわゆる地域要件、これも今先ほどの御質問と同じでございまして、そういうことを課していることが非常に多い。これも先ほど、最初に申し上げたことと同じなんですが、いかにいいものを安く調達するかということとの兼ね合いで、地元企業に仕事を下ろすというのは首長さんにしては大事なことであることは理解できますが、それが本当に一方で、いいものを安く調達するということを忘れて、もう地元要件オンリーと、ほかの業者は入ってくるなと、こういうことをやりますと、結局高い買い物になる。
  それから、おのずと人数が限定されますので、これは場合によっては談合をやってもいいというサインにもうなりかねない。だから、基本は談合は駄目ですと、いいものを安く調達するんですという方針がきちっと徹底される中で地元要件を、地域要件を課すのはいい。その場合も大きさがあると思いますね。地域要件もちっちゃな市で地域要件を課したんじゃ、これはまあ競争がないに等しくなる。だから、もうちょっと隣の町まで入れるとか、同じ地域要件を入れるのでも工夫が必要なのではないか。限定してしまったら、もうこれは談合をやってきたところではもう好都合そのものになりますので、その辺はまさに、何回も申し上げているようなことで、発注者側の基本的な認識なり方針というものが問われるんではないかと思います。
■松下 新平■
  ありがとうございます。
  よく、官製談合はもちろんいけないんですけれども、いわゆる話合いというのは必要悪だという考えもあると思います。もちろんいいものを安くという基本に立ち返って、そして地域の秩序を保つと、このバランスが問題になると思いますけれども、この点についてお伺いしたいんですけれども、談合による弊害は当然除くべきですけれども、一方で、この官公庁の発注において業者のサイドからしますと、計画的に安定した受注が理想であることは当然なんですね。そのバランスについて御意見をいただきたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  これは公正取引委員会の所掌範囲を超える御質問かと思いますが、確かに、私も昔は予算の査定をしたこともございますので、公共事業はそんなに極端に振れるのは困るんだといった、もうコンスタントに仕事があるのがいいんだという話は何回も聞いたことがあります。
  さはさりながら、やはりそうもいかない。今回のような大型の補正ということもありますと、大変関係者は忙しいんでしょうけれども、ですから、これは発注者がその辺のニーズも考えて工夫されるということでございまして、公正取引委員会としてそれに積極的に関与するということはできないと思います。
■松下 新平■
  所掌範囲を超えての最大限の御答弁ありがとうございます。
  でも、大事なのは、委員長が言われたように、いいものを安くということをそれぞれの原点として考えるということが大事だということに、思います。
  次の質問に移ります。
  貴重な税金を使って、公共事業等を行う限り、事業は効率的に行われるべきであります。官製談合といった官の行為による税金の無駄遣いは許されませんが、官製談合は後を絶たない現実がございます。この官製談合の防止に向けた公正取引委員会の取組と、特に竹島委員長のリーダーシップが求められておりますけれども、御見解を伺いたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  残念ながら、官製談合事件というのが引き続き現在でもあるわけでございまして、私ども、これは議員立法でお作りになられた官製談合防止法、それも強化されまして、唆しというものも直罰が設けられるというようなことで強化されているわけでございます。
  そういう法律もきちんと適用させていただかなきゃいけないということを自覚しておりまして、我々が事件を立入りして調査をした場合に、役所が関与しているかどうかということは絶えずウオッチをしているわけでございます。それで、官製談合防止法に違反するような関与があった場合は、これはきちっと指摘をして、地方公共団体なり中央省庁のその長に対して改善措置を命ずるようにやっております。
  これからもその点は当然厳しくやっていかなきゃなりませんし、それから、関係の公務員の皆さんが官製談合防止法というものをきちんと分かっていただかなければ、これは上から言われたんだからまあいいんだというようなこと等を誤解することのないようにしなきゃいけないということで、これは折に触れて都道府県も含めて研修をやっておりますし、中央省庁同士もやっていますが、都道府県に対しても官製談合防止法の説明をして、こういうことをやれば罰則があるんですよということは極力周知に努めているところでございまして、私は、都道府県レベルは少なくとも官製談合防止法というのがあるんだぞということは、発注に携わっている役人はもう分かっているんではないかなというふうに期待しております。
■松下 新平■
  ありがとうございました。
  入札制度について、独禁法とのかかわりについて御質問を六問させていただきました。ありがとうございます。
  残りの一問は、ちょっと視点を変えまして、最近の営業形態について公正取引委員会の御見解をいただきたいんですけれども、その形態とは、大手スーパーとかデパートで場所を貸して営業されるテナントについてなんですけれども、これは借りる側は、大手のデパートとかそういったところは信用度を増すということがあると思いますけれども、それを期待してのことでしょうけれども、実際いろいろお話を聞きますと、場所代を取られてそして売上げの何%かを取られるということで、小売業者は大変これでは成り立たないという声も聞かれております。申し上げたように、テナントを出すメリットもあるんですけれども、その形態が実際横行しておりまして、力関係でいいますと小売業者の方は泣き寝入りをしているという現状もお聞きしております。
  この形態はこれからもどんどん広がっていくことも懸念されておりますが、これについて公正取引委員会の御見解をお伺いしたいと思います。
■竹島 一彦 政府特別補佐人■
  デパートとか大手スーパー、そこのテナントということで、その賃料が高過ぎるとかそういう場合どうかという御趣旨でございますが、残念ながらそれはまさに契約の自由そのものでございまして、そこにそれだけの賃料を払って入る意味があるかどうか、これは入るのも出るのも自由なはずでございますので、そこはそれぞれの経営者が合理的な判断をなさるべきであると。
  我々が問題にしていますのは、そういう大手スーパーとか大規模小売業者が納入業者に対して、納入業者、これはそういう大手スーパーに依存しているわけ、取引関係依存しているわけですが、そういう場合に納入業者に対して不当な利益の提供を要求すると、こういったものは厳しく取り締まらなきゃならぬと思って、特殊指定の下に積極的に法律を運用しているわけでございますが、テナントは、これはそういう立場じゃございませんので、不利な、またはそのように自分にとって赤字にしかならないような場合は、やっぱりそのテナントが判断していただくということにならざるを得ないと思います。
■松下 新平■
  ありがとうございました。
  おっしゃるとおり、契約の自由ということで、その点は分かるんですけれども、現実はいろいろ問題が出ているようでありまして、その点もまた今後注視していただきたいというふうに思っております。
  いろいろ質問をさせていただきましたけれども、そもそも自由市場経済におきまして景気は常に一定ではありません、当然ですけれども。乱高下する宿命にあります。また、今日もお話が出ていましたけれども、安くて良い品物を提供することは消費者側から歓迎されるものですけれども、これが進むとデフレスパイラルに陥る危険性もあるということで、大変このバランスが難しいわけでありますが、自由市場経済の番人として公正取引委員会の役割が重要でありますので、今後も引き続き番人としての役割を果たしていただきたいと思います。明日から海外出張も予定されているそうですけれども、委員長におかれましては、更にこの改正法案が成立した後の運用についてしっかりお願いしたいと思っております。
  最後に、先ほど塚田先生も述べられましたけれども、アメリカの繁栄を象徴される、百年を超える歴史のあるGMの米連邦破産法十一条の適用申請についてなんですけれども、これは世界経済に大きな影響を与えることになります。日本経済についての影響が大変懸念されるところですけれども、いち早く二階経済産業大臣が中小企業、日本の経済は大丈夫だというメッセージをいただきました。この連鎖破産、連鎖の破綻が大変懸念されるところですけれども、セーフティーネットの貸付け、緊急保証制度、中小企業向けの融資、これに万全を期していただきたいし、この委員会としてもその点しっかり注視してまいりたいと思います。
  時間ちょっと早いんですけれども、質問の予定しておりました項目が簡潔に答弁いただきましたので、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。