経済産業委員会−

エネルギー関連 2 法に関する参考人質疑
平成21年6月30日(火)
■松下 新平■
  改革クラブの松下新平と申します。
  本日は、三名の参考人の皆様、それぞれのお立場から貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
  本日は、電気事業連合会、森会長お越しですけれども、独自の様々な取組、そして安定供給に御尽力をいただいておりますことを、改めて敬意を表したいと思っております。エネルギーは何といいましても国の基ですから、私は国策としてこのエネルギー問題を考えてみたいと思っております。
  そこで、私からは原子力の推進につきまして、お三方のそれぞれのお立場からの御意見を賜りたいと思っております。
  お話がありましたけれども、温室効果ガス削減の中期目標達成、このための原子力の推進の必要性、そして非化石エネルギー利用促進のかぎ、これは、もう申し上げましたけれどもやはり原子力の推進だろうと。そんな中で、既存の発電所の設備利用率六〇%にとどまっているという現状があります。また、新設、新増設の必要性。先ほど、森参考人からもそのお話がありましたけれども、今までも取り組んでいただいておりますけれども、そこがなかなかもう一歩進まなかったという現状も御披瀝いただきました。是非、この法案の制定を契機に、更にこの国策としての原子力の推進を図られるべきだというふうに改革クラブとしても考えております。
  お話がありましたけれども、原子力ルネッサンス、途上国も先進国も海外を見渡せば建設ラッシュだと、その中で日本の高い技術力も生かしながらしっかりとらえていかなければならないと思っております。その中で、国と地方公共団体、この取組が課題になるわけですけれども、この法案の中では、国の役割の位置付けとしては、財政上の措置を講じるという、雑則に書いてあるだけなんですけれども、国としても、更にもう一歩この法案を契機として踏み込んで、この必要性、この国の基として将来ビジョンを示すべきだと考えておりますが、それぞれの三人の参考人の皆さんの原子力推進に対しましての考え方をお願いいたします。
■茅 陽一 参考人■
  原子力の今後につきましては、いろいろなポイントがあろうかと思います。
  一つは、まず稼働率でございますが、御指摘のように、現在稼働率が六〇%程度と低くとどまっていることが問題なわけですが、一九九〇年代の後半を見ますと、日本の原子力発電所の平均稼働率は八〇%を超しておりまして、その状況が戻れば八〇%は実現できることが可能なわけです。
  それはどういう状況かと考えてみますと、二〇〇〇年代になりまして、御承知のように、東電の偽装報告であるとか関西電力の事故であるとか、あるいは新潟の地震といった、言うなれば不慮の事件が幾つか起きまして、それが続いたために六〇%という低い稼働率になったと了解しております。その意味で、今後また、その地震だけは予想が付きませんけれども、ほかの人災的な問題について我々が十分な配慮をすれば、九〇年代後半と同じように八〇%の稼働率は実現できるんだというふうに考えております。
  もう一つ、私強調したいのは、核燃料サイクルを一刻も早く確立すべきだという点でございます。温暖化に対して原子力が大きな武器になるという話になっておりますが、もしこれを、ウランをいわゆるそのまま使って、一回で捨ててしまうというワンススルーと言われるもので終わってしまうと、必ずしもウラン資源の寿命というのはそんなに長いものではございません。その意味でいいますと、やはりウラン238を利用して、これをプルトニウムに変えて使うという高速増殖炉を利用できるようにすることが、温暖化問題に対して原子力が意味を持つ本当の方法だろうと思います。
  日本の場合、まだ再処理、さらにはこの高速炉、さらに最終処分場といった三つのポイントがいずれも解決しておりません。これに対して解決の努力を今まで以上にすることが、本当の意味で温暖化対策の中で原子力が生きる方法であろうと考えております。
■森 詳介 参考人■
  先生御指摘のように、我が国ではエネルギーはほとんど大半を輸入に依存していまして、安定供給を担保しながら非化石エネルギー比率を五〇%に上げていくためにはやはりもう原子力しかないというふうに私も思っていまして、既設の原子力発電所の利用率向上、これは茅先生から今御指摘のあったとおりで、利用率下がっているわけですけれども、それに加えていいますと、今いろんなリスクを評価しまして、予防保全工事を懸命に各社取り組んでおります。このことによって定期検査の期間がかなり長くなっていると。これも一つの利用率の低下につながっていまして、先ほど茅先生から御指摘のあった点に加えて、それが一つの要因としてあるというふうに思っていまして、それも間もなく、大体そういう工事もめどが立ってきていますので、これまでの実績のあります八〇%台目指して頑張っていきたいというふうに思っていますし、また、先ほど申し上げました九基の供給計画に掲げておる新設ですね、これについても懸命に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  これらに関しましては、先ほどからも話出ておりますように、先日開催されました原子力部会で原子力発電推進強化策というのが了承されたわけですが、この冒頭には、まずは国が第一歩を踏み出すという姿勢で取り組むということが記載、指摘されておりまして、我々としても大変心強く思っているわけですけれども、我々としても、そういう国の強いリーダーシップの下で我々の果たすべき役割をきちっと果たしていきたいというふうに思います。
  具体的には、やはり安全最優先で、安全、安定運転を続けることを前提にして、高経年発電所を含む既設炉の高度利用ですね、これは利用率を上げていく、また出力を増やしていくと、そういう取組をやっていきたいと思っていますし、それから新増設、これは供給計画に挙がっているものをしっかりとやっていきたいというふうに、これは地元の御理解をいただけるようにしっかりやっていきたいというふうに思っています。
  それからまた、原子燃料サイクル、これも茅先生から御指摘ありましたけれども、これも非常に重要でして、現在取り組んでおります六ケ所の再処理工場の竣工、それからプルサーマル計画の推進、それから高レベルの放射性廃棄物処分場の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思っていますし、それらのベースになるのが国民との相互理解だというふうに思っていますので、これも先ほど申し上げましたが、情報公開を徹底することによって、それに加えて、地域とも対応をしっかりやることによって信頼関係を構築していきたいというふうに思っております。
  私からは以上です。
■山地 憲治 参考人■
  私も、他のお二人と同じように、原子力は地球温暖化対策に限らず我が国のエネルギー供給の安定化、それからコストの安定化という点からも不可欠なもの、非常に重要なものと考えております。
  その中で、じゃ原子力の今の課題というと、これも皆さん御指摘の設備利用率の低迷というところに典型的にあると思います。設備利用率は我が国、暦年でいうと二〇〇八年は本当に五八%、年度でいって多分六〇%ちょうどぐらいでありまして、これはもう途上国も含めた世界全体を見渡しても非常に見劣りのする数値であります。
  実際、九〇年代の半ばには八〇%台半ばまで行っていたわけでありまして、現有の五千万キロワット弱の原子力発電所の設備利用率が今の六〇%ぐらいから八十数%で、二十数%向上すれば、それだけで二酸化炭素の年間排出量は多分七千万トンぐらい下がると思います。我が国の総排出量が十三億とかというところですから、五%行くわけでございまして、ある意味隠し球みたいなものかもしれませんけれども、本来これは達成されるべきものということでありますから、まずそこへ持っていくということが大事なところ。
  それに関しては、昔できていたんだからということもあるんでしょうけれども、もう一つは、例えば、韓国、米国、まあフィンランドもそうですけれども、まあドイツもそれに近いですが、九〇%ぐらいで設備利用率、実績を上げているわけですね。それをむしろ目指していくべきであろうと思っています。
  そのためには、運転期間を、従来十三か月と言われていたものが、今度、法制上は十八か月あるいは二十四か月も可能になっているんですけれども、それを現実のものにするためには検査のやり方を見直していく。つまり、運転中にできる検査は、検査もうそこでやってしまうとか、それから燃料的には高燃焼度化という、少し濃縮度を上げて長い間の連続運転に耐えるということは、これは技術的にできることですから、高燃焼度化と運転期間の長期化で九〇%を目指すべきだと思っております。
  それともう一つは、出力増強ですね。既存設備の定格出力を増大させているというのは、過去、アメリカ、スウェーデンでいっぱいあるわけです。大体、五%ぐらいの出力、同じ設備ですよね。実は、原子炉自体には熱出力で相当余力がありますので、電気出力を五%ぐらい上げることは実例がいっぱいあるわけでございまして、今回、東海二号炉でやっていると思いますけれども。五%といいますと、五千万キロワットの五%、二百五十万キロワットですので、大きな発電所二基分ぐらいに当たるわけでありますから、それにもうちょっと取組、今までむしろ遅かったんではないかと思っております。
  そういう既存の原子力を有効利用していくというところがまず行うべきことであろう、それによる成果が相当、もう計算できる状態だというふうに考えております。
  以上でございます。
■松下 新平■
  ありがとうございました。
  原子力の推進に関しまして共有できたと思います。森参考人から、安全最優先で事業を行うという決意もいただきました。
  相互理解が必要で、情報公開ということで最後にお願いしたいんですけれども、やはり徹底した情報公開によって、供給側は見られているという緊張感、受ける側は安心感、これを、成功のかぎを握ると言われておりますけれども、徹底した情報公開をお願いしたいと思います。
  以上で質問を終わります。