参議院内閣委員会−

国家戦略特区法案に関する質問 −
平成25年11月26日(火)
■松下新平■
  皆さん、おはようございます。自由民主党の松下新平です。
 まず冒頭に、開会が遅くなりましたことをおわび申し上げます。与党といたしまして時間を調整をさせていただきたいというふうに考えております。
 ただいま議題となりました国家戦略特区法案につきまして質問をいたします。
 今国会は、成長戦略実現国会止銘打って、それぞれ衆参、審議が連日行われておりますが、その中でも柱となるのが本日スタートいたします国家戦略特区法案でございます。衆議院でも四日間にわたり内閣委員会において、総理出席の質疑もあったとお伺いしておりますが、二十一時間を超える審議をされたと。そして、修正をいただいて参議院に送付されました。参議院におきましては、二十二日、先週ですけれども、本会議におきまして趣旨説明をいただいて、質疑、そしてこの内閣委員会に付託されました。そして、本日、委員会で趣旨説明をいただいて、今日から参議院でスタートいたすわけでございます。
 冒頭に申し上げましたように、この柱となる国家戦略特区法案でございますので、また、参議院では参議院らしい、ならではの質疑になるように、質問の皆様、そして答弁者の新藤大臣を始め皆様の御理解、御協力をまずよろしくお願いしたいと思います。
 自民党会派として私の方で冒頭質問いたしまして、その後は、旧自治省、現総務省出身の上月委員から経験を踏まえた質問を予定しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず私から、この法案審議に当たってイメージの共有をすることが大事だ左思います。この法案に対するあるべき姿を共有することによって議論も深まっていくわけですし、誤解を生じないということでも最初にお尋ねしたいと思います。
 世界で一番ビジネスがしやすい環境、これを整備する、今回の特区制度の第一義でございます。世界から人材と投資を呼び込んで日本経済を活性化していくことにあるというふうにとらえておりますが、この世界で一番ビジネスがしやすいとはどのような状況をイメージされているのでしょうか。
 国家戦略特区につきましては、そもそも産業競争力会議において立地競争力の強化という発想から出てきたものと承知しております。そして、五月に国家戦略特区のワーキンググループが設置されて本格的議論が開始され、六月に策定された日本再興戦略で、日本産業再興プランにおいて立地競争力の更なる強化ということで国家戦略特区が位置付けられております。
 世界で一番ビジネスがしやすい環境とは、単に外国人が働きやすいということだけではないでしょう。居心地の良さ、快適さ、治安の長さといった無形のインフラをどう整備していくかという話にもなると思いますが、世界で一番ビジネスがしやすい環境とはどのようなものを想定されているのか、イメージができるようにお答えいただきたいと思います。
■新藤義孝 国務大臣■
 まず、この国家戦略特区は、今、安倍政権が進めていきます、いわゆるアベノミクスと呼ばれておりますが、日本の経済を再び興すと、日本再興のためのシンボル的なプロジェクトにしようと、こういうことで位置付けられているわけであります。御案内のように、我々はもう二十年にわたる経済の低迷の中で、宮本の底力をもう一回出せないのかと、我々のこの 固には可能性がないのかということを自問自答しながら、そして選挙の中で国民の負託を得ながら、今回、安倍政権ができたわけであります。
 この金融緩和と財政出動によりまして、当面の景気は底を打ち、今あらゆる指標がプラスとなっていると、経済の成長軌道が生まれつつあるということだと思います。しかし、委員の皆様も全員が御承知されていると思いますが、これは実体経済のまだ本格的な回復には至っていないわけでありまして、この政策が有効なうちにこの成長戦略、持続可能なものをいかに打ち出していくか、これが私たちの、今、日本の国の最大の課題でありますし、私たちは今それを取り組まなければいけないと。
 そのときに、これは経済というものを一つのプロジェクトや何かの個別のものでもって日本の国全体が動くわけがありません。全ては合わせ技であります。しかしその中で、新しいこの国の経済を開く象徴的な事柄として、まずこの成長を阻害している規制が緩和することによって新しい可能性が生まれるのかどうなのか、そしてそれは特区において試行的に行ってみて効果があるかどうかも、これも検証する必要があると。
 この国家戦略特区の目標というのは、まずはこの我が国における新しい経法の起爆剤になるということであります。国内のまず経済を開こうと、更に開くための特区をやってみようというのが一つ。一方で、それは海外から投資を呼び込むものであってもいい。そして、私たち日本は世界に出ていくんだという、その意気込みを示すものであってほしいと、こういうことがございます。
 今委員が御質問いただきましたように、四月ころにこのような構想が生まれました。しかし、それは本当に最初のきっかけだったわけでご、ざいます。連休をも使いつつワーキングチームというのをつくって、私、がずっとやってきたのは、まず、いかに、何が必要なんだと、コンセプトをきちんと屈めようということでございます。その作業を延々やりながら、どういう可能性があるのかということをやってまいりました。そして、そこでミッションとして、使命として決めさせていただいたのが、この世界で一番ビジネスがしやすい環境 をつくるというこどであります。
 このビジネスというのは、是非、狭い意味ではなくて広い意味でとらえていただきたいんです。ビジネスセンターをつくるだけではないんです。仕事をしやすい環境をつくろうと。それは、今申し上げましたように新しいこの日本の経済の起爆剤になるわけでありますから、そこでは先端的な研究開発も行われるでありましょう。それから、ビジネスの集積の区域があってもいいと思います。一方で、日本がこれから経済成長の柱となるような、例えば一医療の分野であるとかライフイノベーションの分野ですね、それからエネルギーもあるかもしれません。様々な、もしかしたら伝統、文化、歴史、こういうものも開発の要素として出てくるかもしれません。それは、これから法案が成立させていただいた後の諮問会議においてそのコンセプトも含めて煮詰めていこうと、決めていこうということになっているわけでありますが、そういういろんなコンセプトに基づいて特区をつくってみようと。
 ですから、私たちの目標は、この分野においては世界の三大プロジェクトだと、ある分野ではもう五本指に数えられるプロジェクトが日本で始まると、それは国内のいろんな人が参加をして持ち上げていくし、海外からも参加できると、こういうものにしたいというのが願いであります。それができるかどうかはこれからの作業に懸かっておりますし、この国会の議論を通じていろんな御意見もちょうだいいたしました。
 その中で、前置きが長くなって恐縮なんですが、結局そのときに、じゃ、ビジネスしやすい環境、仕事をしやすい環境というのは何だといったらば、それはいろんな基盤を整えることが必要だと思います。それから、人が働くわけですから、じゃ、都心部における、またその地域における居住環境も整えなければいけませんねと。そして、人が集まってそこで住み働くとするならば、当然御家族がいらっしゃいます。御家族の皆さんが求めるのは、買物であったり、それから子供たちの教育であったり、医療であったり、そしてもしこれが国際拠点としてワールドビジネスセンターになるんだとするならば、これは時差を超えて仕事をするならば、それに対する交通のバックアップであるとか、それからアミューズメント、いろいろなものも含めた快適な町、便利な町をつくって、そこで仕事がしやすい環境をつくると。そういうもろもろと併せて、根幹となる、もし経済の成長を阻害している規制があるならば、それはこの特区において思い切って挑戦してみようじゃないかと、こういう合わせ技で今度の特区は考えているということであります。
 この国家戦略特区法案は、どうやって決めてどう進めていくかという骨格をまずは政府として提案をし、この法律として成立させていただいて決めた暁には、それに沿って、今私が申し上げたようなことを加味してこのプロジェクトを膨らましていく、そしてそれが名実共に日本経済の起嬢剤になるようなものに仕上げていかなければいけないと、そういう私どもには責任があると、このように考えております。
■松下新平■
ありがとうございました。
 諸外国から、日本は閉鎖的だと、いろんな規制が、ハードルが高いと指摘されて久しいわけですけれども、今、新藤大臣からイメージということでいろんな角度からお述べいただきました。是非、日本の底力、存分に発揮できるように、我々も注視し、また応援していきたいと患います。
 続きまして、今度は違う角度から御質問ですけれども、国家戦略特区による子育て環境の整備についてお伺いしたいと思います。
 日本経済の停滞を招いている大きな要因に、やはり少子高齢化の課題がございます。その観点から質問をしたいと思います。
 成長戦略あるいは経済政策という話になりますと、どうしてもその政策によってGNPがどれぐらい伸びるのかという話になってしまいがちですけれども、少子化の進行は、単に若年労働力が減少するだけにとどまらず、社会から活気が失われてしまいますし、子育てに際しては両親や祖父母、親戚が前向きにお金を使うことがありますから、消費の活性化の面からも少子化に歯止めが掛かって子供が増えていくことは大変望ましいことだというふうに考えます。とりわけ、世界で一番ビジネスがしやすい環境を目指すということですから、働く人の家庭生活が円滑に行われる環境、子育てがしやすい環境というのも当然その内容に含まれ てくると患います。
 私も子育て世代でございます。子育て中の親御さんたちからもこの法案に対しての注目が集まるわけですが、国家戦略特区において子育て関連の規制改革はどのように想定されていらっしゃるのでしょうか。当然、自治体からなされた特区の提案の中にも子育て関係の規制改革がたくさん含まれていたのではないかと思われますが、国家戦略特区制度は子育て環境にどのような規制改革をもたらすのか、その可能性について伺います。
■川本正二郎 政府参考人■
お答えを申し上 げます。
 今委員御指摘のように、世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくるということになりますと、内閣いわゆる事業環境を整備するだけではなくて、そこで働く方、それから家族の方々の生活環境の整備を進めていくということが非常に大きな課題になるというふうに私どもも認識をしているところでございます。
 今回、国家戦略特区の御提案の前に地方公共団体や民聞から多数御提案をいただきました。ビジネス環境の整備という観点から、今申し上げた生活環境整備についての御提案も大変多々ございましたが、子育てにフォーカスを絞ってという御提案は必ずしも多くなかったわけでございますが、私ども、まず働く人が子育てしやすい環境、暮らしやすい環境を整備するということで、都心居住を実現する、職と住を近接した町。つくりを進めるということで、今回の法律の中でも、都心居住のための住宅の容積率の特例措置というものを盛り込んだところでございます。
 さらに、こういった町づくりの中で特区を具体化していく中では、子育て環境の整備のためということでこれからいろいろ規制改革の御提案もあろうかと思っております。そういった御提案があれば、それを受けて必要な改革に取り組んでまいりたいと考えております。
■松下新平■
ありがとうございました。
 次に、規制改革の意義と国家戦略特区につきまして、規制改革そのものの意義についてお伺いしたいと思います。
 規制改革は、アベノミクスの第三の矢とされております。しかし、規制改革自体は小泉構造改革時点から見てももう十年来の懸案とされております。これまでの問、規制改革会議等様々な会議体が設置されては答申を出し、その答申に従って規制を改革するということが少なくとも自公政権の下ではずっと行われてまいりました。また、民主党政権においても、行政刷新会議の下で規制・制度改革を行ってきたわけで、政権交代にかかわらず、十年来、規制改革は政権における大きな政策課題であり続けたわけでございます。
 構造改革特区制度での実証を踏まえて全国で実施が可能となった農業への株式会社の参入など、規制は徐々に取り除かれているようにも見えますが、依然、岩盤規制というものが指摘され続けております。今回の特区制度はこの岩盤に風穴を空ける大胆な規制改革を行う特区制度であるとされておりますが、ここ十年の取組で我が国の規制改革についてはどのような問題点が浮き彫りとなったのか、そして岩盤規制を突破していくために本特区制度はどのように有意義なのか、改めて説明をいただきたいと思います。
■新藤義孝 国務大臣■
  この規制改革については、大きく言うと二つの流れがあるんだと思います。
 一つは、全国的に規制を緩和する、それが今委員がおっしゃったような規制改革委員会、今も稲田担当大臣が任命されておりますが、そういう全国的な規制を緩和していく、そういう取組がなされていて、それは二疋の成果が上がりつつ、しかし全国でやるわけですから、その効果、安全性、こういったものを検証する上においてなかなか進 まない。そして、岩盤規制と言われるようなものは、これは、生活の基本であったり自治の基本に当たるようなものについて、これを大きく変えることに関しては、それは賛成の方もいれば不安に思う方もいる、そういう中での試行錯誤が行われていると。進んでいることでありますが、なかなか一遍にいかないのは、これは現状が物語っているところだと思います。
 一方で、それとは別に、ある地域で、そこの地域で眼定をして緩和してみようと。その検証をしつつ、それが有効であるならば全国に広めていこうと、こういう動きがあるわけで、それは構造改革特区であり、総合特区であり、今回の国家戦略特区と。そういう区域を定めて、その中で規制をいろいろと考えてみようと、こういう動きがあったというふうに思っております。
 今度の構造改革特区は、一つの規制緩和事項をどこかの地域でやると。規制改革のみなんですね。それが認定されれば、それを望む自治体は、全国どこでも手を挙げればそれを適用できると、こういう仕組みでございます。
 総合特区というのは、今度は、規制の緩和に加えて、プロジェクトをそこで地域が考えて、単体の規制緩和ではなくて複合的な事業としてプロジェクトにして、その中で規制緩和も組み入れると。したがって、その規制緩和はその地域のみに使われる項目なんですね。
 かつ、この構造改革特区も総合特区制度も、それはまさに地方、事業者からの手挙げ方式であります。御提案いただいたものに対して国がマル・バツを定めて、それで要件に当てはまるもの、指定した範囲についてはどうぞといって御支援をすると、こういう仕組みであります。
 今度の国家戦略特区は、地域からの御提案もいただきます。民間の事業者からも御提案いただきます。そして、あわせて、国も一緒になってそこで事業体になると。ですから、国と地方と民間が一つになって向じ立場で事業を推進していく。それはまさに自力の総合的な力をここでつくって推進してみようではないかと。
 ですから、これまでの特区左は根本的に違うんです。国が枠を定めて、その指定に合致したものを認めて、どうぞではなくて、一緒にやりましょうということであります。しかし、この根底にあるこの特区ならではの大きな取組の中で規制緩和をやって、その効果のほどをチェックすると。これは、可能であればそれは全国展開していこうと。
 それから、全てがうまくいくとは限りません。駄目だとするならば、その駄目な原因をやはり徹底的にチェックをして、改善をして、次なる新しい提案を起こしていくと。
 こういう流れをつくっていこうと、こういうことでございまして、今度の特区制度が、規制緩和、特にこの岩盤規制と言われるようなものは、やはりそれだけの物事というのは大きな効果があって、そしてその規制を緩和することによる心配が取り除かれると。それは、紐を大きくすればするだけ効果もきちんとチェックしやすくなるという意味におきましては、この国家戦略特区を活用して、結果的に規制緩和が大きく進むのではないかと、こういう期待をしているわけでございます。
■松下新平■
ありがとうございます。既存の特区制度との比較にも触れていただきまして、あり がとうございました。
 次に、トップダウンで国家戦略特区を行う意味についてお伺いしたいと思います。
 国家戦略特区制度につきましては、特区をトップダウンで進めることが重要であると説明されてこられました。そして、本法案におきましては、内閣総理大臣を議長とする国家戦略特区諮問会議を設置することにより、議長である総理が会議を主導する結果、トップダウンで戦略特区が推進されていくものと理解されております。
 現行の総合特区制度でも特区推進本部が内閣にあり、本部長は内閣総理大臣ですが、本部はどちらかというと決定機関ですから、議論の場としては余りふさわしくないと思われます。経済財政諮問会議のようにいろいろ議論して、それに基づいて総理が決断し、特区制度全体あるいは規制改革全体を望ましい方向に向けていくということに重点があるのだろうと考えております。
 国家戦略特区諮問会議は総理のトップダウンを担保する機関としてどのような役割を期待されているのか、お伺いいたします。
■新藤義孝 国務大臣■
 この国家戦略特区は、先ほどから申し上げておりますように、言わば日 本の本気を示すと、そういう特区にしたいと思っているわけであります。ですから、それは、新しい斬新な提案を入れて、それから規模を集中して、また複合させることによってこの効果を狙うと。この仕事を、やはり大事なことは、迅速にかつ簡潔な意思決定によって進む、そういう形をつくろうということでこの特区諮問会議というものが設けられているわけであります。
 しかし、これは、あえて申し上、げますが、総理といえども、またその担当の大臣といえども、一存で決められるこkは何一つございません。あらゆる方々の意見を聞き、知見をきちんと検証し、その上でまとめたものを決定するときに、強力な推進体制と、そこの迅速でかつ簡潔な意思決定体制をつくるというふうにしたわけでありまして、この特区諮問会議では、区域の方針、それから事業内容、様々なものが決められます。しかし、それは、最終的には閣議決定するんです。
 ですから、そこで全閣僚が承認をして進むということになります。ですので、これまでと違う左ころは、その決定する仕組みをシンプルにしました。しかし、それは、最終的には国家の意思決定をするわけでありますから、これは閣議で決めていくということで、これは議論の方はしっかりとする、充実した議論を前提にして、しかし決められるものは速やかに 決められるようにすると、こういう形をつくる、それが国家戦略特区諮問会議でございます。
■松下新平■
 ありがとうございました。日本の本気度、是非それを存分に発揮していただきたいと思います。
 明治の初期のころの思想家で歴史家である徳富蘇峰という方がいらっしゃいますが、国家、が興隆するときは理想をもって生活とし、国家が衰退するときは生活をもって理想とするという言葉を述べられています。私もこの徳富蘇峰にいろいろ学んでいるわけですけれども、もちろん我々の日々の生活というのはそれぞれ大切なところでございますが、国家が伸びていくときには大きな理想を掲げて、それにみんなの気持ちを一つにして突き進んでいくという大きな意思と申しますか、志と申しますか、そういったものが大事だという教え だろうと思います。
 今回の国家戦略特区法案、新藤大臣から音山気込み、具体的なイメージも含めてお示しをいただきました。まさに、この日本の底力を発揮するこのタイミング、チャンスを逃したら日本が再びまた興隆することがないと、そういった背水の陣、危機感でこの法案に取り組んでいらっしゃるということを感じました。我々も、それぞれ議員の立場、与野党はございますが、この衰退、そして閉塞する日本を打破する大きな切り札でございますので、 そういった意味で、参議院でもこれからこの法案の審議を深めて、より良きものにしてまいりたいと思います。
 それでは、この後は上月委員にバトンタッチをしたいと思います。ありがとうございました。