消費者問題に関する特別委員会

− 消費者庁設置三法について −
平成21年4月23日(木)
■松下 新平■
 改革クラブの松下新平です。本日最後の質疑となります。よろしくお願いいたします。
 まず、少数会派でありますけれども、発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。当委員会の委員にさせていただきましたし、また質問時間にも御配慮いただきました草川委員長始め与野党の理事、委員の皆様に厚く感謝を申し上げます。
 本日、参議院では初めての委員会開催でありますけれども、私からは、基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。重複の質問もございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、本院での本法案の審議入り、大幅に遅れたことは残念だったんですけれども、与野党の歩み寄りによって政治決着に至ったということは大変意義深く、関係各位の御尽力に心から敬意を表したいと思います。
  私も、これまで所属いたしました農林水産委員会そして経済産業委員会などでそれぞれの事件、事故を扱ってまいりました。いずれも、その対応の不手際、隠ぺい体質、連絡ミスなどから問題が広がって重大な結果、取り返しの付かない結果をもたらしておりました。尊い人命や財産を失ってしまったものも少なくありませんでした。その反省に立ちまして、この法案は、これらの度重なる食品偽装を見抜けなかったり、欠陥商品による事故を防止できなかったりと、省庁ごとの縦割りで弊害が目立った消費者行政の立て直しを担う新しい組織として大きな期待が寄せられております。
 そこで、新設の消費者庁が消費者行政の司令塔としてどのように機能していくのかについてお伺いしたいと思っております。法案では大半の業務が従来監督権限を担っていた省庁と共管とされているために、命令や指揮系統が混乱する可能性がありますし、各省庁からの出身母体に気兼ねすることも懸念されております。職務の線引きを明確にし、なれ合いを排除する国民本位の心構えが不可欠であります。それらのために政治のリーダーシップが求められますが、大臣のお考えをお聞かせください。
■野田 聖子 国務大臣■
 消費者庁が法律の執行を行う上で、また省庁の地方組織等を活用するために、ほかの省庁にも立入検査等の権限を持たせている法律というのがございます。大きく分けて二つ、二種類ございまして、一つが、JAS法とか家庭用品品質表示法、景品表示法のように、立入検査の結果を消費者庁に通知させるとともに、最終的な行政処分の権限を消費者庁のみに留保した上でそれぞれの大臣と、例えばJAS法だと農林水産大臣、そして家庭用品等ですと経済産業大臣、また景表法だと公正取引委員会ですけれども、に立入検査や指導等の権限を持たせているもの、二つ目は、特定商取引法、健康増進法のように、経済産業省、厚生労働省のそれぞれの設置法を改正して消費者庁長官がこれらの省の地方支分部局の長に対して直接指揮監督を行う権限を規定しているものがあるわけです。これらの仕組みを設けることによって、命令や指揮系統が混乱しないようにしっかりと措置をさせていただいているところです。
 また、貸金業法、それから旅行業法、割賦販売法、宅地建物取引業法、この四業法については、業所管大臣の行う処分については消費者庁が協議を受けて、また必要な意見を述べる仕組みを設けた上で、業務改善命令等の処分については業所管大臣が行う等の仕組みを設けたところであり、事業者が二重にそれぞれの、消費者庁とこっちの役所からという、そういう命令を受けるといった混乱が生ずることがないように措置をしているところであります。こういう法律の仕組みを踏まえて、消費者庁とほかの役所が明確な役割分担の下で命令や指揮系統が混乱を生ずることがないよう実務を努めていく、そういう所存でございます。
■松下 新平■
 続きまして、消費者庁と消費者委員会、この連携について、そして他省庁に迅速な対応をどのように求めていくかについてお伺いしたいと思っております。
 今回の与野党合意のポイントは、消費者庁と同格の監視機関となる消費者委員会に格上げされたことであります。その趣旨は高く評価するわけですけれども、その一方で、妥協といいますか、急いだ余り課題も残されました。その一つが、実際問題が生じたときに消費者庁と消費者委員会とがどう連携し、他省庁に迅速な対応を求めていくかで、このことがあいまいなままだと感じております。体制づくりが急務ですけれども、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
■野田 聖子 国務大臣■
 いろいろ課題が残されたということですが、私、原案者というか、最初に三法を出して、与野党で協議いただいて、修正協議いただいて合意をしていくプロセスを拝見する中で、消費者元政策委員会が消費者委員会というふうになり、そして極めて本府に置くということで独自性をしっかりと持たせていただいた。先ほど仙谷先生からも御説明がありましたけれども、明文化することによってその権限がはっきりと、そして強化されたことが国民に伝わるようになったということは非常にすばらしいことではなかったかと思っています。
 消費者庁と消費者委員会というのは敵対するものではありません。むしろお互いが励まし合ってというか、お互いの不足を補っていく。例えば、消費者庁には極めて有能な専門性の高い官僚が各省庁からもう推薦をいただいて来てくれるわけですけれども、だからといって一般消費者の気持ちに精通しているということではないわけで、そういう足らず前の部分を消費者委員会のそれぞれの選抜されたメンバーの方が補っていくということで、しかしながら、どうなっていくかというよりも、やはり運用を始めることでその両輪の輪がしっかりと早くに回っていくことで、本来の役割、それぞれの得意分野、役割を発揮していただけるものだと思っているので、何はともあれ、参議院での慎重かつ速やかに御審議いただいた上、誕生させて、運用の中で委員会と消費者庁のいいマッチングというのを見出していければと思っているところであります。
■松下 新平■
その体制づくり、急いでいただきたいと思いますし、運用の方もよろしくお願いいたします。
 次に、消費生活センター、地域住民の最も身近な存在でありますこのセンターの拡充についてお伺いしたいと思います。
 消費者がまず初めに相談に訪れるセンター、これをいかに相談しやすく使い勝手の良い組織にするか。国民の側に立った消費者行政を行う上でかぎを握っているわけでございます。そこで、地域の消費生活センターの現状についてお伺いしたいと思っております。
■野田 聖子 国務大臣■
極めて大切なことだと私も思っています。
 現状についてですけれども、地方の消費生活センターについては、平成二十年の四月時点で全国に五百八十六か所設置されています。消費生活センターを設置している市区町村数は全市区町村の約二五%となっております。ただ、人口で見ますと、市区町村レベルの消費生活センターで全国の人口の約七〇%がカバーされていることになっています。これは現在、大都市圏に集中しているということで、先ほども申し上げましたけれども、大変な格差が大都市圏と地方では発生しているということになっているわけです。つまり、そもそも消費生活センターがないという地域も今あるわけでございます。
 ですから、そのため、まあ一応現状はそうですけれども、今後の取組も …… (発言する者あり)はまだ話さなくていいですか。お尋ねがなかったので、いいですか。そういう不安を抱えておりますので、まずは消費者安全法の法律の中において、今地方の消費生活センターで相談員の方たちがやってくださっているような事務というのをしっかりと地方公共団体の事務として明確に位置付けました。
 そして、地方の消費者行政の最前線にあるこのセンター、消センにおいて実効性の高い消費生活相談等が行われるよう、その設置につきましては今までは基本的に自由でしたけれども、都道府県では必ず置くように、そして市町村に対しては努力してくださいというふうに法律において定めました。
 そしてあわせて、基金、都道府県に造成する基金によって、今までなかったところは是非この基金を活用して、相談窓口をその地域に応じた形でつくっていただくとともに、どういう形でもいいんですね、その窓口をそれぞれに置くのもいいし、広域的に強い例えば市があれば、その周辺はそこから巡回等々やって、広域的なそういう消費生活センターを、実際につくらなくて、バーチャルな形でつくっていただいても構わないわけですけれども、そんなようなことで支援をさせていただくことになっているところでございます。
■松下 新平■
 地域格差の是正もよろしくお願いしたいと思います。
 答弁にありましたけれども、私からも相談員の待遇改善についてお願いしたいと思っております。今期四月から給与等の一部改善されたようですけれども、現場でいろんな声をお聞きしますと、今も多い多重債務の関係の相談、またクレーマーと呼ばれる相談マニアといいますか、そういった現場の苦労もございました。この国の支援強化を、与野党合意事項でもありますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 次に、被害者救済制度についてお伺いしたいと思っております。やはり、衆議院における修正の附則におきまして、五項目中の一項目ですけれども、不当な収益の剥奪及び被害者救済の制度の在り方の検討が記されております。実効性のある救済制度の導入に対する考え方をお伺いします。
■野田 聖子 国務大臣■
 消費者庁というのは、これまで議論されている消費者被害の未然防止とか拡大防止に加えて、今御指摘の被害者救済の体制を強化するものでもあるわけです。
 少額多数の被害が発生する、そういう特徴のある消費者被害では、費用とか労力の見合いから、それぞれ個々人の消費者が自ら訴えてそれを提起することというのはもう皆さんあきらめてしまう、泣き寝入りしてしまいがちなんですが、一方、違法な行為をしたそういう悪徳な業者の人たちには大変多くの利得が残ることになりかねないという問題があるわけです。ですから、こうした問題に対処して、実効的な被害者救済の仕組みを充実していくこともこれからの消費者庁の大変重要な課題として私は認識しています。
 今、内閣府では、消費者庁の創設に先立って関連する国内の諸制度の調査研究に着手しています。集団的消費者被害回復制度等に関する研究会ということで、消費者庁ではその成果を踏まえつつしっかりと検討してまいります。
■松下 新平■
 それでは、最後の質問に移りたいと思います。国民本位の姿勢へ転換するための霞が関の抜本的な意識改革についてお伺いしたいと思います。
 組織を組み替えたからといって、消費者行政が直ちにうまく回転するわけではありません。明治以来の官僚制の仕組みは、これまで生産者、産業界を重視してきた上にございました。そこにメスを入れるのは政治だと思います。やはり政治、大臣の強いリーダーシップが求められておりますが、決意をお願いいたしたいと思います。
■野田 聖子 国務大臣■
 本当に自分でやっていても思うんですけど、この消費者庁をつくるというのはもう大変大きな出来事だと後々の人が評価してくださるのではないか。
 今委員御指摘のとおり、今の役所というのは、もう明治だか戦後だかもともかく、もう産業振興のためにつくられた組織なんですね。ですから、消費者が大事だって言っていても、そもそもが産業のためにつくられた役所ですから、なかなか自分たちの役割の中で消費者に対して、はかりでいうならば圧倒的に消費者が下がっていたというのはこれはもう事実であって、それをもう大胆につくり変えるということで、消費者庁という新しい行政組織をどんと乗せることで、今まで働いていた霞が関の人たちは、皆が多分産業振興だ、産業育成が日本の幸せにつながると思っていたけど、いやいやちょっと待って、消費者庁ができたことで消費者というキーワードがこの国の中央に入ってくると。
 消費者がしっかりと生きることが今度新しい日本の底力になるということを、やっぱりそばにそういう消費者庁というものがあることで現認するようになりますし、常に消費者庁の人間と話すことによって、産業寄りにいた官僚の人たちも消費者側にいる官僚の仲間との対話の中で、順番順番、やはり消費者目線ということを学んでいくんではないかと。これは理屈とかそういうことよりも、日々そういうものに接して自分たちが変わっていかなければならないと思うけれども、今までやっぱり消費者庁というものがなかったんで、意識の上では持っていてもなかなか変わりづらかったのではないか。
 私自身も、今ずっとそれぞれの役所の人たちと消費者庁をつくるに当たって対話をする中で、やはり消費者視線というものを着実に、ほかの役所の人たちも新しい考え方、この国を支える考え方として位置付けてきているようなそういう思いを日々感じているところなので、このまましっかり取り組んでいきたいと思っております。
■松下 新平■
 ありがとうございました。
 また、審議を深めてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。