消費者問題に関する特別委員会

− 消費者庁設置 3 法案に関して参考人質疑(午前) −
平成21年5月8日(金)
■松下 新平■
 改革クラブの松下新平と申します。最後の質疑者となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 消費者教育というテーマでいろいろ議論をいただきました。広義の消費者教育、それぞれテーマごとの消費者教育ということで私も大変勉強になったんですけれども、西村参考人からは体系的な消費者教育をお示しいただきましたし、日和佐参考人からは実践に基づく、あるいは企業の中のいろんな実態なりを披瀝をいただきました。また、藤原参考人からは学校現場の様々な問題点をいろいろ御指摘もいただきまして、大変盛り上がったと思っております。ありがとうございます。
 私からは、重複いたしますけれども、二、三点についてまたお伺いしたいと思っております。
 まず一点は、この消費者教育の中での地域社会の教育、そして家庭教育の重要性についてなんですけれども、私も地方議会出身でありますし、ついこの間まで消防団活動とか、地域の青年団、自治体活動も行っておりました。また、三人の子供の父親でもあります、高校、中学、小学校ですけれども。また、教育現場には私と同世代の者もたくさんおりまして、いろんな悩みとかもお伺いしております。
 今日、幅広い議論の中で思いますのは、子供は小さな失敗、小さな成功を繰り返しやっぱり成長していくと。それは、西村参考人のたくましい消費者をつくると、そしてまた藤原先生からはクリティカルシンキング、そういった表現が、同じものになるというふうに思いますけれども。その中で、藤原参考人からは、地域社会、この重要性は共有するんですけれども、学校を核として、疑似であるけれども地域社会をつくり直すんだということは、私も切り口としては大賛成であります。
 私も地方の出身ですけれども、地方も今地域が崩壊していて、それをどうして従来のうまくいっていた地域社会に戻すかというのはもう大きな課題でもあるんですけれども。
 ただ、子供たちからすると、時間は同じなわけですから、題材はたくさんあるわけですね。地域のかかわり合いが少ない分、例えばテレビとか例えばインターネットを通じて、そういった題材で消費者教育を受けられる時間的な、昔も今も時間的な条件は同じなわけですから、そういった面からこの消費者教育も考えてみるべきじゃないかなと思っております。
 そこで、地域社会あるいは家庭からの教育について、それぞれお三方からいま一度御意見をいただきたいと思っております。
■西村 隆男 参考人■
 御質問ありがとうございます。
 我々の地域といいましょうか社会は、例えば諸外国と比較するとどこにいても安全、安心だというふうに言わば信頼してきたわけですね。だから、端的に言えば、ちょっと物を置いておいても簡単になくならないと、目を離しても。ところが、いろんな部分でひずみが生じてきて、安全、安心がある意味で失われてきた。それをどこで補っていくか、守っていくか。そういう意味では、やはり地域とか家庭の力というものを改めて見直す必要があるということだと思うんですね。
 消費者教育に重ねて考えますと、例えば高齢者の被害をなくすという視点で最近は高齢者見守りネットワークというような形で、集める教育的なシステムではなくて、何というんでしょうか、むしろ、ある方がどうも最近お金の使いっぷりが良くなっているけれどもちょっとおかしいんじゃないかとか、それから、どうも最近元気がない、ちょっと様子を見に行ってみようとか、そういった地域を通じての、皆さん方がよそ様意識ではなくて、そういうことを持っていくようなネットワーク。そういうときに核になるのが民生委員さんであったりケースワーカーであったりするんだろうというふうに、あるいは町内会の役員さんであったりするんだろうというふうに思いますが、そういう意味では、先ほど日和佐参考人のお話にもありましたけれども、横浜市の消費生活推進員のようなものも一定の役割を果たしているんだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、家庭教育に関しても、私も小学生の親御さんの保護者会の勉強会に子供のお金教育ということで呼ばれたりしたこともこれまでに何回かございます。そういう機会に、子供さんに、今の親は子供に苦労させまいとして余りお金のことを意識させないと。中学、高校と大学、下手をすると大学を卒業しても家で養うようなこともあったり小遣いをやったりするようなこともあるような時代ですから、親教育が必要であるということだというふうに思うんですね。そういう意味では、学校を通じて、学校で消費者教育をやることで、それを家庭に持ち帰ってもらうというような形でのやり方も展開としてあり得るだろうというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
■藤原 和博 参考人■
 繰り返しておりますけれども、日本の今の学校では正解主義の教育がされていますね。そうすると、正解に出会うまで、自分にとって正解と思うものに出会うまでいつまでも消費する子供を育てていることになるんですね。それから、もっと言うと、正解に出会うまで転職を繰り返す子ですよ。もっと言うと、正解に出会うまで結婚しない子ですよ。
 つまり、修正主義という感覚がないんですね。やってみて修正していくという感覚じゃなくて、完成品があるからそれを選ぶという感覚が強過ぎちゃうわけです。これを何としてでも直さなきゃならないわけですが、学校でどういう授業の手法があるかはもう十分説明したと思うんですね、あと家庭と地域というような話だと思いますけれども。
 家庭に関して言えば、消費しないことも含めて教えるべきだと思いますね、もっと使い回すという。これを余り言うと産業界の方は多分びっくりしちゃうと思うんですね。買わないということですね。
 今、勝間和代さんの「断る力」というのが今ベストセラーになっていますが、買わないとか断るとか、そういうことって実は学校教育では教えていないんですよ。断るということを教えていないですよ、不思議なことだと思われるかもしれませんけれども。だから、ベストセラーになるんですね、ああいう本が。
 だから、そういう意味では、家庭でやっぱり断るとかやらないとか買わないとか使い回すとか借りてくるとか、そういうことをやっぱりきっちり、裕福な家庭でもやるべきなんだと思うんです、子供の教育のためには。それが一つ非常に大きなことだと思います。
 本当はそういう家庭教育を補助する非常に大事なフィールドが地域社会だったわけですけれども、宮崎でしたっけ、宮崎でさえも地域社会が壊れていっていますよね。本当にそうなんです、漁村、農村でさえもそうなんですね。
 これを改めて、例えば商店街がシャッターになっちゃったからといって商店街にお金をつぎ込んでも僕はよみがえらないと思います。それよりは学校を核にして、何度も言いますが、新しい担い手、団塊の世代で地域に戻ってくる人たち、だって、団塊の世代はこれから五年で一千万人が第二の人生を始めるわけですから、一割地域に戻ったって百万人ですね。一中学校区に百人いるわけですよ。だから、探せばいますから、こういう人たちにコーディネーターをやっていただいて、大学生とか高校生とか、子供たちが異世代の人と交流できる、そこでコミュニケーションが生まれる、そこで細かく失敗したりだまされたり、そこでやっぱり学ぶものという方が大きいですね。消費者教育を何とか教育とかレッテル付きの教育でやるより、よっぽどそちらの方が練習素材になるんじゃないかと思います。
 それから最後に、学校教育についても最後に一つだけ言っておきますが、公教育、無料じゃないんです。実は、私は入学式でも卒業式でも繰り返し繰り返し親の前でも生徒の前でも言っていたのは、百万円掛かっているんですね、一人の子供を育てるのに、義務教育で。年間百万円です、大体七、八割が人件費ですけれども。これを授業の数で割りますと、年間大体千こまの授業が行われていますから、簡単に言っちゃいますと、一こまのコストは一人当たり千円なんですよ。だから、子供たちに僕が言ったのは、君たち、ただで授業を受けていると思っているかもしれないけど、そうじゃないのよと。千円、君たちは払って受けているんだからねと。これ千円というのは、中学生が映画見に行ったときに「スター・ウォーズ」見るのと一緒の額なんですね。
 先生たちにも僕は言うんですね。千円の価値出してくださいねと。要は、この授業が終わったときに、帰りに、三十人子供がいたら三十人の子から千円のおひねりが飛んでくるかどうかという、こういう金銭感覚も学校の中に入れていかないと、そういうものじゃなくて何か崇高なとか聖職でとか言っているから、いつまでたってもそういう現実的な感覚が付かないわけです。
 一つの授業に千円のコストが掛かっている、一人にですね。全国の子供たちがこの感覚を持つだけでも僕は変わってくると思いますね。
 以上です。
■日和佐 信子 参考人■
 私は先ほど、出前講座で地域に出かけていくことがあるとお話をいたしました。そこで感じたことをお話をしたいと思います。
 対象は高齢者の方がほとんどなのですね。私が出かけますと、ああ、もっと若い先生が来るかと思っていたみたいなことをおっしゃるんですけれども。そこで、もう今は具体的に、悪質事業者の手口というのはこういう手口があるんですよということを具体的に事例をお話をして、そしてそれに対応するにはどうすればいいのか、もうとにかく一人で自宅にいらっしゃるときは訪問販売が来てもドアは絶対開けてはいけないとか、具体的なことをお話をしています。その中で、最後にいろいろと意見交換をするんですが、振り込め詐欺に遭った、あるいは高価な宝石を買ってしまったという方が必ずいらっしゃるんです。いらっしゃらないことはないです。
 あるとき、おっしゃったことに非常に衝撃を受けたのは、その方はなぜ振り込め詐欺に遭ったのか、その理由を、御主人が亡くなられて遺産が一定の金額で入ってきたそうです。今までは支出をするときに必ず御主人に相談をして、ですから専業主婦でいらしたんですね、そして許可を得なければいけなかった。だけれども、今は遺産もある、そして自分で決めて買える、そこがうれしかったと言うんですね。それでつい、私が決めて払うんだからいいじゃないかという感じで振り込め詐欺に払ったと。これは、私は非常に社会の構造的なことをおっしゃっているなというので非常に心を打たれたのですけれども、そういう方もいらっしゃいました。
 それから、ケアマネジャーを対象にした講演もやっているわけですが、そこでケアマネジャーの方から相談を受けた事例なんですが、少し痴呆が進んでいらっしゃる方の家族から相談を受けていると。どういう相談か。注文した覚えがない地域の名産品が届くというわけですね。でも、ちゃんとそれは注文されていますよと。お母さんに注文しましたかと聞くと、そんなものはしていないとおっしゃる。これから要するに痴呆が進むとどんどんそういうことが重なってくるんじゃないかと思って心配で、どうしたらいいですか、それをやめさせるためにはどうしたらいいですかという形で相談を受けたとおっしゃるんですね。
 その状況を聞いていると、やはりもう頭から、お母さん、そんなことをしては駄目ですよ、やめなさい、何かあったら必ず相談しなさいと、そういうように言っている風景が目に浮かぶわけですよ。そうではなくて、たとえそれは少し記憶があいまいであるかもしれないけれども、そのお母さんを大事にして、もう少しお母さんを尊重してお話合いをすれば分かってもらえることなんじゃないのかなと。
 要するに、家族の問題ですよね。地域の問題、家族の問題。地域で助け合うということがどんなに大事なのかということもお話をして、せっかくここで集まった仲間だからこれからも連絡を取り合って、何かおかしいなというようなことがあったらお互いに相談し合いましょうというようなこともお話をするわけですけれども、やはり地域で相談する相手がいない孤独な高齢者の姿というものがかなり強烈に浮かんでくるという時代でございます。やはりそういうことを解決していかなければというように思っています。
■松下 新平■
 ありがとうございました。示唆に富んだお話をありがとうございます。
 消費者問題、これはイコール社会の構造、今後の日本の在り方の問題ということで大変参考になりました。ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。