消費者問題に関する特別委員会

消費者庁設置三法について
平成21年5月22日(金)
■松下 新平■

 改革クラブの松下新平です。最後の質疑者となります。
 四名の参考人の皆様には、午前中から長時間にわたり御出席をいただいておりまして、本当にありがとうございます。
 今回のスタイルは初めての試みでした。通常は、参考人の皆さん、公述人の皆さんはそれぞれ別の機会と、そしてまた大臣を含む執行部の皆さんとのやり取りは別々にされておりましたけれども、今回参議院においては衆議院と違った審議方法をということでこういったスタイルを理事会で決定していただいて取らせていただきました。若干参考人の皆さんの発言の機会が少なかったかなということもありまして、皆さんに、最後になりましたけれども、本日の議論も踏まえて、また消費者庁設置に関する皆さんそれぞれのお立場からの御期待、そういった点からお述べいただきたいと思っております。そして、最後に野田大臣から、その参考人の皆さんのお述べいただいたことを踏まえて御所見、決意を述べていただきたいと思っております。
 今日は、市川正子さん、かけがえのない大輔さんを亡くされたということで、私からもお悔やみを申し上げます。赤とんぼの会の本当に御活動のとおり、防げた事故ということで、本当に悔やんでも悔やみ切れないところでありますけれども、まさに消費者庁設置の原点でもありますので、私どももその発言を踏まえてしっかりこれから設置に向けて議論を深めてまいりたいというふうに思います。
 前回、参考人質疑、公述人の方のやり取りがあったし、それで大臣はその議事録も御覧になったということですけれども、私からも、この相談員の皆さん、第一線でいろいろ御苦労もあるということでしたけれども活躍される、この相談員の皆さんが思う存分活動していただくことがこの消費者庁設置のもう一つのキーワードになろうかと思いますので、その環境の整備にもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 もう一点、これ通告をしておりませんでしたけれども、前回出て重要な問題が消費者委員会の事務局体制でありました。消費者庁とこの消費者委員会、衆議院の修正協議の中で、同等、権限が強化されたわけですけれども、消費者委員会の委員の人選もさることながら事務局体制、これもまだ衆議院では議論されていなかったので参議院でしっかり議論して、消費者庁が有効に動き出すように今から準備することだということも指摘されておりましたけれども、その点について現段階の御所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

■草川 昭三 委員長■
 どなたが。
■松下 新平■
 それは後で。では、最初に消費者庁の事務局体制について。
■野田 聖子 国務大臣■
 消費者庁ができ、そして、決して敵対するわけではありませんけれども、いい意味でのライバル関係として消費者委員会というのが衆議院の修正協議の中で明確に位置付けられたところであります。
 先ほどの話にもありましたように、委員は十五人から十名以内というふうに変えられましたけれども、事務局につきましては、衆議院ではその具体の話は特段出ておりませんでしたが、やはり適材適所で配して、委員会の委員の皆様方が、委員長を始め委員の皆様がしっかり活動でき、やっぱり国民の代表としていろんなことをしていただかなければなりません。
 さっき、中村弁護士からこんなにたくさんやらなきゃいけないんだよという話がありましたけれども、そういうことをしていただくのに十分円滑に作業ができるような人員の配置と、そしてクオリティーの高さというか、質をやっぱりしっかり保っていきたいと思います。
 具体的に何人とかどういう人をというのは、まだこの法律が仕上がっておりませんので、法律成立後にしっかり検討させていただきたいと思います。
■松下 新平■
  それでは、お待たせしました。参考人の皆さんからの御意見をいただきたいと思います。
■草川 昭三 委員長■
 では、藤原参考人からお願いしますか。簡潔に。
 藤原参考人、中村参考人、佐野参考人、市川参考人という順番でお伺いします。まず、藤原参考人。
■藤原 和博 参考人■
私は話を限らせていただきます。消費者教育、学校における消費者教育についてなんですが、今日の議論をずっと聞いていまして、ちょっと私は少し残念です。恐らく、このままいきますとお茶を濁されるなというような感じの感覚を持っています。
  なぜかということは午前中に十分にお話ししたと思いますけれども、公民、社会科あるいは家庭科あるいは道徳、そういう教科は時間数がどんどん減っていますので、そこにはほとんど入りません。現場として入らないんですね。幾ら指導要領に一行、二行書いてあっても入らないんです。例えば、教科書に多少一言付け加えられる程度というような感じじゃないでしょうか。あるいは二ページが三ページになる程度。それできちっとした消費者が育成できるのでしょうか、賢い消費者が育成できるのでしょうか。
  それから、もう一つ付け加える教育として、今現在でも、総合の中では環境をやりなさい、環境教育、IT教育、国際理解教育、福祉・ボランティア教育、それから心の教育、命の教育、キャリア教育、金銭教育、起業家教育、食育、こういうもう有象無象、要するに分野に入らないものが全部集まっているわけです。そこにまた消費者教育が加わってどうなるでしょうか。
  私の目にもう未来の姿が映っています。恐らく、一年後ぐらいにまたパンフレットが配られるんだろうなと。一部百円ぐらいのパンフレットで、多分千五百万部です。小中高校の子供たちの数です。多分、そこに消費者庁の設立と消費者市民社会の実現みたいなタイトルが振られて、教員がこれを生かせると思いますか。無理です。
  それから、石井先生から非常に鋭い指摘もいただきましたよね、更新の時期に研修をやったらいいじゃないかと。残念ながら三十こまなんですね。三十こまの座学です。一部はもう通信教育で逃れられるようになっているんです。そういう中で例えば一こま、二こま消費者の部がちょっと加わったとしても、それは難しいんじゃないかなと思うんです。
  私は、根本的に、これは本当にいいチャンスなので、消費者庁設立と同時に日本の教育のOSの部分、アプリケーションじゃなくてOSの部分をもっと、個人が人生するときに立ち向かわなければならないリスクをどうマネジメントするかという視点で、もう一度指導要領を個人の視点で再編集しなきゃならないと思うんですね。これは大変な作業です。宗教改革に近いぐらいの感じです。でも、このチャンスにしかできないと私は思っていました。でも、多分この議論の中からはそうはならないだろうなと、パンフレット千五百万部だろうなという、そういう気がしております。
  実際どうしなきゃならないかは前回の委員会でも申し上げましたが、非常に短く申し上げますけれども、クリティカルシンキングですね。要するに、とにかく正解主義で教えるだけではなくて、ディベートとかロープレというのを繰り返して、子供たちに自分が主体的に考える、例えば、赤ちゃんポスト問題はもっと普及すべきなのか、それとも余り普及するともっと子捨てが起こるようになっちゃうのかとかですね。そういうことを中学生が議論できないと思ったら大間違いです。もう中学生、高校生はそういうことを議論できるんですね。日本の教育行政は、むしろ中学生、高校生をなめているんですよ。もっと議論させるべきですね。ディベートとロールプレーを繰り返させるべきです。そして、上手な疑い方、クリティカルシンキングの技術を教えてあげることが僕は最高の消費者教育だというふうに思うんですが、違うでしょうか。
  というようなことで、是非そういう本格的な議論を消費者教育、特に学校教育についてはしていただきたいと思います。
  それが、同じく野田大臣の担当だと思いますけれども、自殺の予防に関しましても、自殺というのは是か非か、あるいは安楽死というのは是か非かというのは、これ議論をやってみますと、つながってくるんですね。実際、私は八年授業をやってそれがつながってくるのをよく見ていますし、そういう議論を中学生や高校生はしたいんですよ。本格的な議論をしたい。ところが、先生たちがみんなそれをタブーにして話ができないようにしちゃうから、だから隠されてそのまま自殺に行っちゃうわけですね。
  もっと、タブーじゃなくて、臭い物にはふたをしろじゃなくて、子供たちに議論をさせてほしいんです。そういう意味でも、自殺自体ももっともっと学校で題材にするべきだと思います。そうしてクリティカルシンキング、つまり複眼的な思考が身に付いた消費者が自立した消費する市民になっていくんだと思うんですね。そこまで本格的な議論を是非お願いしたいと思います。
  ありがとうございました。
■草川 昭三 委員長■
 ありがとうございました。
 じゃ、中村参考人、簡潔にお願いします。
■中村 雅人 参考人■
この審議を踏まえて一点ちょっと私の方で申し上げたいのは、消費者委員会の委員、これから法律が成立したら選ばれると思いますが、どういう人を選ぶかという点であります。
  今まで国の多くの審議会は、産業界、労働界、消費者団体、学者、マスコミなどをバランスよく整えてきました。しかし、この消費者委員会というのはそういう構成でいいんでしょうかということです。消費者委員会というのは、消費者庁も含めた消費者行政を監視しなきゃいけないんですね。意見も言わなきゃいけない。そういう団体であるから、これはやはり消費者目線で、消費者問題の経験と造詣のある人たちで固める、そのくらいの人選を是非やっていただきたいということを一つお願いしておきます。
  最後に、日弁連は、二十年前から消費者庁をつくってくださいということを提言してきた団体であります。ようやく今ここに来て国会の審議が始まり、衆参両院を通じて大変多くの時間、そして多くの議員の皆さんに議論していただきました。
  このお話を聞いていまして一つ感動したのは、一体どこの政党の方が発言されているのかということを全く感じなかったんですね。政党の色が全くなく、皆さん全く統一して、消費者目線でやろうと、新しい行政をつくろうと、こういうことで一致してくださった。大変感動いたしました。
  是非、本当に最後の仕上げをやっていただきたい、今こそやはり天の時、地の利、そして人の和が結実して消費者庁ができるんだろうと、この年こそできるんだろうと思っております。よろしくお願いします。
■草川 昭三 委員長■
  ありがとうございました。
 続いて、佐野参考人、お願いします。
■佐野 真理子 参考人■
日弁連が二十年というといつも主婦連は四十七年前ということで申し上げてきましたが、本当にこれで、あと一歩で私たちが長年望んできた消費者庁ができる、そして、私、個人的にですが、これにかかわれたことは非常にうれしく思っております。
  やっぱり主婦連がここ数年運動してきた中で、先ほどから申し上げている、やっぱり事故情報をどうにかしたいという。今日はここにはいらしておりませんけれども、パロマの上嶋さんの息子さんも、あれも情報が一か所に集まっていたらあんなことはなかった。シュレッダーで指を切ったお子さんたちも、情報が一か所に集まって情報提供されていたら二人目はなかった。コンニャクゼリーもそうです。今はハロゲンヒーターの二次被害が起きています。これをどうしたらいいのかという、無駄な事故、事件を起こさないためにはやはりきちんと情報を一元化してそれを出していく、消費者に提供していくことが非常に重要だと思っています。
  やっぱり集め方、先ほど一番最初御質問があった、民主党の先生の、集め方、それは非常に難しいということは分かっておりますけれども、現在できないかもしれませんが、やっぱり将来的には義務化が必要じゃないかなというふうに思っております。
  その中で、今重大事故だけ報告義務があるということですが、今回もそれは政令で決めるという。是非考えていただきたいのが、ここの場ではないかもしれませんけれども、今ある消安法よりかもっと下げていただきたい。だから、死亡、それから後遺症又は三十日ということが決まっているわけですけれども、それをもう少し下げるということによって情報が義務的、情報提供、情報の、事故報告が義務化されるわけですから、もっときちんと情報が集まるということになるので、その辺も是非考えていただきたいというふうに思っております。
  それから、行政が、これで消費者庁ができることによって行政の考え方が変わるということを非常に期待しております。そして、消費者庁ができるということで、地方の消費者行政も変わるということを私は非常に期待をしているわけです。まだまだ難しいことがたくさん地方の消費者行政にはありますけれども、それはこの機会を逃すことなく、消費者団体全国にありますので、頑張っていきたいというふうに思っております。
  それから、最後にもう一つお願いしたいことがあるんですが、消費者庁ができるということに当たって、障害者の団体、十二団体集まっているところが消費生活センターに関するアンケートを行っております。もうすぐ集計が終わるところなんですけれども、中間で申し上げますと、障害者の方たちが消費生活センターを知らないとか、そこは何をやってくれているところか分からないという結果が出ておりますので、是非広報をしていただきたい。それから、ずっと同じ電話番号でアクセスしやすくと言っておりますけれども、お話ができない方はファクスが必要だということも是非入れていただきたいというふうに思います。
  これから、できたらますます私たちの仕事、監視になるわけですけれども、大きくなってきますけれども、みんなと協力しながら是非いい消費者庁、そしていい消費者委員会をつくっていきたいなというふうに思いますので、是非ここで、四十ぐらいの附帯決議といううわさもありますが、きちんと附帯決議を付けていただいて、是非いいものに最後にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
■草川 昭三 委員長■
 市川参考人、お願いします。
■市川 正子 参考人■
今日はありがとうございました。初めて公の場でエレベーターについて訴える場をいただき、本当に心から感謝しております。
  最後の一言ということで、実は、正直に言ってよろしいですか、先ほど金子大臣が息子をダイスケと呼んだんですね。息子はヒロスケです。この三年間、私は国交省に請願書も十六万の署名も提出し、先ほど言ったようにお会いはしました。でも、何度会うたびに冷たいなと思って帰ってきたんですが、今日ダイスケと言われたときに、あれは意図的に言ったのか、あるいは本当に間違えたのか、えっ、息子は。まだ私の訴えは届いていないのかと正直に感想を言わせていただきます。
  この三年間、赤とんぼの会の皆さんと一生懸命、二〇〇八年の一月、吐く息の白くなるほど、手が震えるほどのときに街頭署名という形で素人ながら署名運動に入りました。やはり安全を求める声は本当にこんなに大きいんだと、是非議員の皆様に感じていただきたい、そういうふうに思います。事故の原因究明調査、これはやはり、本当のことをただす、明らかにする、その場所は、各省庁、組織、いろんなところの影響を受けない場所につくっていただきたい。これは本当に消費者庁ができてから一番先にやっていただきたいなと切にお願いしたいと思います。
  あわせて、この三年間の中で思い悩みながら、涙をしながらいろいろ考えている中で、一つ、安全には終わりがないんだと、安全はずっと監視、指導していかないといけないんだと、それには一番適任な消費者庁という場所だと私の中では位置付けしております。どうか、議員の皆様、これからも赤とんぼの会と私たちの訴えにお力添えをよろしくお願いいたします。
  ありがとうございました。
■草川 昭三 委員長■
 どうもありがとうございました。
■松下 新平■
 私も、金子大臣、名前を間違うのも失礼ですけれども、内容も、本当にそういった体制がいまだに続いていると。だからこそ、この消費者担当大臣が強力なリーダーシップの下にやっていくことが期待されるわけですけれども、最後に、野田大臣の御所見と決意をお願いいたしたいと思います。
■野田 聖子 国務大臣■
  今日、参考人の皆さん、長時間お付き合いいただきましてありがとうございます。また、過日は別途時間をつくっていただきまして法案に対しての様々な御意見をいただいたこと、議事録を通じて大変参考にさせていただきましたことを改めてお礼申し上げたいと思います。
  今、主婦連は四十七年、そして日弁連は二十年の消費者庁設置に向けての活動の歴史があるというお話がございました。私は、一昨年の十二月に自民党の消費者問題調査会ができて初めて消費者行政と直接向き合う、そういう時間をいただいたわけで、まだまだ本当に皆様方からするとアマチュアのもういいところで、いろいろと物足りないところもたくさんあったと思います。
  ただ、私自身は、福田総理に言われてこの法案をこの国会に提出するに当たって、自分としては大変誇りと自信を持っていたのは、これは、私が所属する自民党の作った法律でもなく、政府が作った法律でもなく、今お話しいただいた様々な参考人の皆さんが何十年にも掛けて積み上げてきたものの集大成であるということから、私自身は、自分の意見ではなく、そういう専門家の皆さんの長年の労苦の末にでき上がった結晶がまさにこの三法案だという思いで邁進することができたことを本当にうれしく思っています。
  また、ねじれ国会と言われる中、修正協議、本当に熱心にしていただきまして、すべての政党が一致して消費者行政を進めていくんだという名の下で、衆議院の方では全党一致でこの法案を通していただきました。大変これは、もう歴史的にもすばらしい金字塔をお建ていただいたと。すべての政党の皆様方に感謝を申し上げます。
  あとは、見識あるこの参議院での審議を速やかに進めていただきまして、まだまだ十二分でないところは、たくさんの附帯決議、たくさんの附則の中でありますけれども、やはり消費者庁というものを産み出して初めて、国民、市民という言葉は定着しているけれども、まだまだ消費者という言葉がしっかりと国民一人一人の中にしっくり根付いていない中、やはりそういう国民の、戦後初めて、明治以来初めての、国民と対峙する、国民のパートナーたる行政組織をつくったということで、大きく日本を塗り替えていきたい、明るく元気な方向へ塗り替えていきたいということを常に願っているところでございます。
  これはもう、産むことが目的ではなく、これから産んで大きく育てることがすべての皆さんにとっての目的であると思っていますので、どうか速やかな御審議と成立に向けての御尽力を心からお願い申し上げまして、私自身、こんなすばらしい仕事に接することができたことを、皆様方に感謝とともに御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
■草川 昭三 委員長■
どうもありがとうございました。
■松下 新平■
 ありがとうございました。
 お話がありましたけれども、成立目前でありますけれども、また新たな課題も出てまいりました。附帯決議も含めて、しっかり参議院の考えを表してまいりたいと思います。
 本日はありがとうございました。