「参議院決算委員会委員派遣」 報告書
2017年2月16日(木)及び17日(金)>

 去る二月十六日及び十七日の二日間、国家財政の経理及び国有財産の管理に関する実情を調査し、もって平成二十七年度決算外二件の審査に資するため、宮崎県、鹿児島県及び熊本県に派遣されました。
 第一日目は、宮崎市において独立行政法人航空大学校を視察いたしました。航空大学校は、質の高い操縦士を養成することにより、航空界の発展と安全運航の確立に寄与することを使命としている我が国唯一の公的な操縦士養成機関であります。
 航空大学校では、増大する航空需要に対応するため、計画的な操縦士の養成や私立大学等の民間操縦士養成機関に対する技術支援のほか、平成三十年度から学生定員を拡大することとしております。航空大学校における操縦士の教育課程や各種施設の視察を通じて、航空業界で高く評価されている優れた教育内容の一端を見聞いたしました。
 なお、委員からは、施設の老朽化が激しいことから、耐震性に係る問題に対する早期の対応の必要性が指摘されました。
 その後、鹿児島県庁を訪問し、三反園知事と、今後の県政ビジョン、雇用の創出や地域活性化のための具体策等について意見交換を行いました。
 次に、鹿児島市の気象庁鹿児島地方気象台において、火山、地震の観測業務、地方公共団体の防災活動への支援業務を視察いたしました。
 二十四時間体制で桜島等の観測を行っている現業室を視察するとともに、専門職員の配置状況等について意見交換を行いました。
 その中で、職員数等は拡充されているものの、予測能力等の強化はこれからの課題であるとの説明を受けました。気象庁が単なる行政機関の肥大化とならないよう留意しつつ、火山観測体制の一層の強化を政府に働きかけていく必要があると実感いたしました。
 続いて、JR九州鹿児島支社を視察いたしました。同社は、二十八年四月に発生した熊本地震により生じた、九州新幹線の脱線や豊肥線沿線の斜面崩落などの甚大な被害からの復旧に努めております。また、同社は、二十八年十月に株式上場を果たし、鉄道事業における利便性の向上と増収に努めつつ、駅ビル不動産事業等の関連事業を積極的に展開しています。同社における安全確保の取組や駅ビル事業を中心とした地域振興の取組の視察を通じて、特色ある地域づくりや地方分権に公共交通が果たしている役割について知見を広げることができました。
 九州のほぼ中央に位置する熊本県における交通網の整備は、九州全体の観光業に与える影響が大きいことから、公共交通機関である豊肥線の早期復旧は喫緊の課題であり、国としての支援の必要があると強く実感いたしました。
 第二日目は、薩摩川内市において、九州電力川内原子力発電所を視察いたしました。川内原発は、国内で稼働している二か所の原発のうちの一つであり、現在、緊急時対策棟などの建設が進められております。
 昨年、熊本地震が発生したことから、原発の安全対策は、早急に対応すべき重要課題となっております。川内原発が立地する鹿児島県には多くの火山や活断層が存在しており、当委員会においても、緊急時における安全性の確保策などの観点を含め、活発な質疑が行われてきました。
 今回、川内原発の緊急時対策所、タービン、発電機、中央制御室等を視察いたしました。また、九州電力から、川内原発の概要、福島第一原発事故を踏まえた安全対策の取組等について説明を受けるとともに、地元の薩摩川内市の岩切市長に御参加いただき、大地震が発生した際の避難計画の策定状況、緊急時対策棟の完成までの安全確保策、東日本大震災以降に投じられた安全対策費用と運転期間延長の関連性等について活発な意見交換を行いました。
 九州電力は、東日本大震災以降、原発の安全対策に四千億円を超える費用を投じており、今後も原発の維持管理に多額の費用が見込まれております。原発の安全性確保策について、様々な観点から注視していくことが重要であります。
 次に、熊本市において熊本城を視察するとともに、大西市長と復旧の見通しなどについて意見交換を行いました。熊本城は、熊本県のシンボルでありますが、多くの石垣やしっくいの崩落、各種建造物の倒壊など、甚大な被害が生じております。
 熊本城の復旧に関しては、熊本市が、二十八年十二月に、熊本城復旧基本方針を策定しているほか、関係機関との連絡調整の場が設けられていますが、復旧には二十年という長い期間と多額の費用が見込まれております。国としても、関係自治体との連絡調整を緊密に図りつつ、熊本城の復旧に向けた取組を確実に推進していく必要があると実感いたしました。
 なお、移動の車中において、熊本県より、熊本地震による被害状況及び復興に向けた取組等について説明を聴取いたしました。
 続いて、熊本地震で最大震度七を観測した益城町を訪問し、西村町長から被害状況の説明を受けるとともに、復旧復興に向けた取組等を視察いたしました。益城町では、多くの尊い人命が失われただけではなく、全壊二千七百七十三棟を含む一万二百八棟の家屋の被災など、甚大な被害が生じております。倒壊家屋の今年中の公費解体を目指すなど、復旧は徐々に進捗していますが、解体工事に当たっては、重層的な下請構造の存在により一部で作業に遅れが生じる事態となっており、また、今後の復興事業において更に多額の費用が掛かるとされております。
 また、益城町においては、県内最大規模の仮設住宅であるテクノ仮設団地を視察するとともに、入居者に対する相談等の支援活動を行っているキャンナス熊本や入居者の方々と意見交換を行いました。
 熊本地震からの復旧においては、各種建築物の再建などの復旧を確実に推進することに加え、被災者が直面する課題について相談できる仕組みの構築等、被災者に寄り添った施策の充実が重要であると認識した次第であります。
 以上が今回の実情調査の概要でありますが、最後に、御多忙の中、今回の派遣に御協力をいただきました関係者の皆様に対して厚く御礼を申し上げまして、報告を終わります。
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