TOP 憲法審査会 活動報告
憲法審査会は、(1)日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査、(2)憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等の審査を行う機関として、衆参各議院に設置されています。
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11月15日に参議院憲法審査会が開会され、「合区」をテーマとして、各会派の意見交換が行われました。
私からは、冒頭、開会日が自民党結党の日であったことにちなみ、「現行憲法の自主的改正」は、結党以来の党是であり、憲法改正への取組をさらに強化していく旨、改めて決意表明をいたしました。
私の発言の詳細は以下の通りです。
令和5年11月15日
自由民主党の松下新平です。
本日11月15日は、自民党結党から68年になります。
1955年、昭和30年11月15日、東京・神田の中央大学講堂において、結成大会を開き、戦後最大の単一自由民主主義政党として歴史的な発足をみました。
「現行憲法の自主的改正」は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理はしっかり堅持し、初めての憲法改正への取組みをさらに強化していく所存です。
私は、(多くの人口減少県の選挙区選出議員と同様の問題意識から)都道府県の果たす重要な役割、そして都道府県単位で国会議員を選出する必要性、重要性について意見を申し述べます。
さきほど、法制局長からご説明いただきましたように、最高裁判決では、「具体的な選挙制度の仕組みを決定するに当たり、一定の地域の住民の意思を集約的に反映させるという意義ないし機能を加味する観点から、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものであるとはいえない」という、昨今の最高裁判決が示してきた基本的認識が再確認されました。
その上で、「有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることがうかがわれる」との認識が示されました。
私は、先の参議院徳島・高知選挙区の補欠選挙の期間中に徳島県に応援に入ったのですが、自分たちの県として代表者を選出できない合区対象県の有権者の関心は予想以上に低いと実感したところです。
立法府として、最高裁が今般示した判断について、重く受け止めて進めて参ります。
また、判決後の参議院予算委員会において、岸田総理から、都道府県に関して重要な認識が示されました。
「都道府県は基礎的自治体を補完する広域自治体として行政サービスを安定的に提供する役割を果たしているとの観点から、今後ますますその果たすべき役割の重要性は増していく」との答弁です。
本憲法審査会でも、合区制度の弊害とともに、都道府県の意義や、都道府県単位で国会議員を選出する必要性についても度々議論がなされてきました。
本年4月に本審査会に参考人としてお招きした合区対象4県の知事・副知事の皆さまからは、明治23年の府県制以来、都道府県はほぼ変わらずに来ており、これが民主主義のユニットであること、地方創生や人口減少対策など、国政の重要課題の解決に当たり、地方の実情をくまなく届けることができる都道府県単位による代表の選出が不可欠であることなど、地方自治を担う当事者の切実な思いが述べられました。
全国知事会でも、毎年、合区解消に関する決議が行われていますが、本年7月に出された決議においては、「参議院は、創設時から一貫して「都道府県」単位の代表が選出されることで、地方の声を国政に届けるとともに、我が国における戦後の民主主義の発展に重要な役割を果たしてきた。」との基本的認識を示した上で、「令和7年の参議院選挙に向けて、国政に地方の意見をしっかりと反映させ、各地方の実情に合った施策の実現を図るため、十分な国民的議論のもとでの憲法改正等の抜本的な対応による「合区の確実な解消」を強く求める」旨の結論を導いています。
憲法に都道府県を念頭に置いた広域自治体を明確に位置付けることは、合区解消の前提とも言えることです。
自民党の改憲条文イメージにおいても、合区解消を求めるとともに、地方自治の章において、基礎自治体と広域自治体を明確に位置付けることとしております。
「都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出」したいとの有権者の根強く切実な考えに正面から応えるのは、自民党の改憲条文イメージであると自負しております。
抜本的な合区解消のための憲法改正を実現すべく、今後一層、取組を活発にしていきたいと考えております。
【以上】
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また、12月6日にも、日本国憲法および日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題として、参議院憲法審査会が開会され、各会派の意見交換が行われました。
私の発言の詳細は以下の通りです。安全保障環境に関連して申し述べました。
令和5年12月6日
自由民主党の松下新平です。
我が国が直面する急速な人口減少、そして厳しさを増す安全保障に関連して、これからの当審査会の議論の進め方について意見を申し述べます。
前回、そして一年前の憲法審査会で、私は、地方での急速な人口減少と大都市への人口集中が続く中、投票価値の平等だけを追求すれば合区選挙区が急増しかねないという強い懸念を示した上で、都道府県の果たす重要な役割と都道府県単位で国会議員を選出する必要性に鑑みると、合区問題の抜本的解決には我が党が示した条文イメージによる改憲が必要と主張いたしました。
一方、現在、参議院改革協議会の選挙制度専門委員会が精力的に議論を続けられています。
まずは参議院改革協議会による議論の進展を見守りたいと思います。
次に、安全保障環境に関連して申し述べます。
ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢など、世界各地で深刻な事態が生じています。
日本周辺でも、一方的な現状変更の試みや、先月二十九日に本院が抗議決議を行ったように北朝鮮の蛮行が繰り返されるなど、我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しい状況です。
国民の皆様も厳しさを増す安全保障環境を強く意識しているのは明らかです。
本年五月の読売新聞の世論調査では、憲法を改正する方がよいとの回答が61%と二年連続で六割台、改正しない方がよいとの回答の倍近くです。
ウクライナ侵略による意識の変化では、憲法を改正するべきだという意識が高まったが40%と、今の憲法を守るべきだという意識が高まったの、こちらもほぼ倍です。
一方、我が国の安全保障の中核である自衛隊については、今も学者の中では違憲だという根強い主張が続いています。
憲法に自衛隊が明確に位置付けられていないために、万が一のときに憲法論議が巻き起こり、迅速に対応できないのではないかという不安を感じるからこそ、国民の間に憲法改正が必要との意識が高まりつつあるのではないでしょうか。
我が国は改憲四項目の一つに自衛隊明記を提案しております。
【以上】