TOP 新型コロナウイルス感染症について 松下新平議員の所感 松下新平議員の所感 争い合う時代から許し合う時代へ
単細胞生物から始まって、38億年、現在生き残っている生物たちは勝者ではない。生命史を紐解くと、長い目で見れば一人勝ちするよりも、他者と協力し合う方が生き残りやすい。他の動植物を人間の都合で駆逐しながら、ずっとこの先も一人勝ちを続けていけるのでしょうか。(稲垣栄洋著、敗者の生命史 38億年より)
現代に生きる私たちは、パンデミックを経験しました。そして、そのパンデミックから多くの教訓を得ました。
私たちは、開発速度があまりにも速すぎたため、人間同士の競争によって地球を破壊し続けてきました。今回のパンデミックは、自然からの警鐘かも知れません。
コロナ前の世界は良くないから、戻さない、戻してはならない。だからといって、旅行自体をやめるべきだと言うことにはなりません、経済の再構築が求められます。
例えば、今非常に裕福な人たちは、得た利益をパンデミックで苦しんでいる人々や、子供たち、恵まれない人々へ寄り添い、還元するのです。
みんなを豊かにすることは経済のスピードを落としますが、これまでとは違った方法でお金を稼ぐことが出来ます。ポストパンデミックの産物になり得ると思います。
環境破壊や貧困、それらはグローバル経済が過度な利益を追求し過ぎた結果がもたらしました。
倫理や道徳を世界の価値観の中心となる倫理資本主義(マルクス・ガブリエル氏提唱)の考え方が大切です。
富とは単に稼ぐことだけではない、善いことをする可能性だと考えるべきです。富とは富を共有する可能性です。そして、他者のために善いことをする可能性です。増えた富は倫理観に基づき再分配すべきです。
経済的倫理だけではありません。例えば、ジェンダーの理解が進んだ国と健康にも良い食文化を持つ国は、道徳的観点から両国の長所と短所を比較し、長所を取り入れる、そうすれば共に発展します。
もし、経済的余剰価値をこの活動と結びつければ、道徳的に優れた完璧な制度を構築できます。
サステナビリティの形、持続可能性を見極めるには、論語も羅針盤の一つになります。ここで、安岡定子先生の「苦境を乗り越える 勇気を与えてくれる『論語』の言葉」を紹介します。
「ふるきをたずねて新しきを知れば、以って師と成るべし」
昔の人の教えや過去のことについて学び、そこから新しい考え方や物事への取り組み方を見つけられれば、その人はよい先生になることができる、という意味です。
孔子は2500年も前に、まずは先人の言葉や歴史に学びなさい、そこから新しいことに取り組むヒントが得られると説いているのですが、それは現代でも同じではないでしょうか。
環境保護や慈善活動をしながらそれに対して利益を上げるだけではなく、対話の姿勢が国の施策にも必要です。
21世紀の非常に近代的な民主主義において、理由を交わすことは極めて重要です。政府は、国民に行動の理由を提起し説明責任を負わねばなりません。さらに、国民側も意見を政府に対して提供しなければなりません。
それぞれが理由を提供し合います。
もし、政府が異論を比較し考慮することなく一方的に判断して片方だけが得をする可能性のある結果を支持したとすれば、それは、民主的リーダーシップが著しく欠如したことになります。
政府も国民もお互い説明責任を果たすことこそ、民主主義の根幹です。
普遍的な倫理に基づいて行動するために、人類はもっと連携すべきですが、実際は多くの分断が生まれています。
WHOがパンデミック宣言を行った1ヶ月後の国連安全保障理事会では、アメリカと中国は対立しました。
新しい啓蒙思想をつくるためには同盟関係を結ぶべきです。常に協力し、強固な同盟を構築すべきです。
このパンデミックが、何事も可能だということを示してくれました。世界ではロックダウンなど、不可能だと思っていたことが現実に起こりました。同様に不可能に見えますが、国々が連携して、強力な同盟を構築するのです。
今こそ、民主主義の知識を共有しなければなりません。
特に、ワクチンに関してのすべての知識を共有できるか否かにかかっています。なぜなら、ワクチン接種がロックダウンよりも民主的政策だと思うからです。
まず、問題は、ウイルスが生物学的現象だということを忘れてはなりません。法律では、ウイルスを制御出来ません。私たちがどう行動するかです。
現在、参議院において、政府開発援助等に関する特別委員長の任にあります。
途上国で感染拡大が収束しないと、先進国の観光客や留学生、輸出がいずれも減ると指摘され、「パンデミックは一国で乗り切ることはできない」として、途上国への公平なワクチン供給を訴え実践しています。多国間でワクチンを共同購入する「COVAX(コバックス)」など、国際協力の枠組みが必要不可欠です。
地球規模で解決すべき課題が山積する現代において、国同士も争い合う時代から許し合う時代へ深化させなければなりません。
令和3年8月11日